これまでの導入したケースでは、ダム堤体面概査や養殖いけすのモニタリングなどがある。ダム点検は、これまで潜水士が壁伝いに潜り、取水口の汚れやつまり、コンクリートの継ぎ目からの漏水を点検していたが、度々死亡事故も発生している。水中ドローンを活用した結果、濁度10の環境で、1平方メートルの調査に要する時間は28.04秒で済み、1000平方メートルでは約7.8時間と、安全性の確保と点検時間の短縮がもたらされることが実証された。
次の展開としては、東京大学生産技術研究所と共同で研究を進めている沖縄県でのサンゴの死滅状況を調べたプロジェクトを紹介。ドローンが海底の起伏を自動追従し、取得した画像からサンゴ礁の3次元マップを生成した。将来には、ディープラーニングで画像の自動検出することも見据えている。
水中ドローンのメリットについて伊藤氏は、「これまで、レアメタルやメタンハイドレートといった深海資源の調査では、1回1000万円を超える高額な費用が掛かり、空振りに終わってしまうケースも少なくなかった。DiveUnit300であれば、深海観察のコストが10分の1で済む」と強調する。
ドローン開発のロードマップに置き換えると、「水中ドローンはまだレベル1の段階で、市場拡大の余地はまだまだある。これからは、ニーズが高まっているインフラ維持管理や増設が見込まれる洋上風力発電所へ積極的に提案していき、国内で水中ドローンの技術を確立し、その後は海外展開も視野に入れ、ユーザーの課題を解決するプロダクトマーケットフィット(PMF)を目指したい」とビジョンを語った。
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