30mのスキャンを可能にするCAD/GIS向けエプソン初の大判複合機CAD/GIS(3/3 ページ)

» 2019年11月06日 05時24分 公開
[石原忍BUILT]
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広がりをみせる電飾パネルでの出力需要を見込む

 フォト・プルーフの国内市場でのエプソンは、想定稼働台数で49%のトップシェアを保持する(2009年4月〜2019年3月、6色機以上の出荷台数)。ハイエンド2機種でねらうのは、もともとユーザーの多い商業印刷をはじめ、高画質と生産性を求める写真・出力センター、ポスターや電飾パネルの内製化を訴求する小売り・印象業の3分野だ。

CAD/GIS向けSC-T5450Mと、フォト・プルーフ向けSC-P9550の位置付け。赤い丸で囲ったのが今回追加された新機種

 とくに、昼夜を問わず訴求効果の高い、アパレル小売り店や飲食店を中心に人気が高い、LED内照式看板の電飾用フィルムは、これからのニーズを見込む。エプソン独自のロール紙モニター申し込みキャンペーン(2019年7月1日〜9月24日)でも、フリーカットクロス、マット合成紙ロールに次ぐ、24%のユーザーが関心を示している結果となった。この需要に応える形で、新機種には、SureColor史上最高画質を謳う、純正の電飾フィルム用印刷モードが用意されており、暗部の濃度/隠蔽(いんぺい)性/諧調性などを考慮した広い色域を再現する。

 他にも操作面で、純正RIPソフトウェア「Epson Edge Print」への対応も予定しており、サイン・ディスプレイ用エコソルベント機との色合わせなども可能になる。

 価格はB0のSC-P9550が79万8000円と、A1のSC-P7550が47万8000円(ともに税別)で、2019年12月上旬に販売を開始する見通し。

64インチ昇華転写プリンタに、蛍光インク搭載機とハイスピードモデルを追加

 SureColorシリーズのラインアップに追加された残り2機種は、2013年から参入した昇華転写プリンタの64インチ対応モデル「SC-F9450/SC-F9450H」。販売展開は、2019年12月上旬からエプソンの販売代理店を通じて行っていく。

 昇華転写は、転写シートを用いてプリントするサイン分野での幕やのぼり旗、アルミプレート以外に、東京五輪を機に需要喚起が見込まれるスポーツアパレル、ポリエステル系の服飾、さらにスマートフォンケースやタオルなどのグッズ製作にも使われる。

蛍光インクを搭載した「SC-F9450H」と、右が蛍光色で印刷したバックリットのファブリック(布)サイン

 2機種の違いは、SC-F9450がハイスピードモデルで、SC-F9450Hはピンクとイエローの蛍光インクを備える。蛍光インクは、CMYKと同等の24カ月の長い消費期限で、蛍光の仕様が少ないユーザーでも使用頻度を気にする必要が無い。標準価格は、SC-F9450が260万円、SC-F9450Hが310万円(ともに税別)。

 CAD/GISやフォト/プルーフを含む水性インクの大判インクジェットプリンタの事業戦略について、エプソンでは、国内市場規模を約2.9万台と分析し、2018年度はシェア3位。しかし、エントリーモデル「SC-T3150」の出荷台数がけん引力となり、着実に占有率を伸ばしているとみている。

水性の大判インクジェットプリンタ市場(エプソン調べ)

 他の用途では、サイン・ディスプレイは首位ミマキエンジニアリングに次ぐ2位で21%、昇華転写はフラグシップモデルが大手のファブリックユーザーに受け入れられ、2017年の27%から2018年には36%となり、通期シェアで初の首位を獲得した。

 今後は、新機種を投入したことで、水性顔料プリンタについては、今後1年間で1万台の販売目標を掲げている。

サイン・昇華転写のそれぞれの市場(エプソン調べ)。エプソンは大判プリンタでは後発ながら、徐々にシェアを拡大している
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