高砂熱学工業はネインと共同で、建設現場での点検作業を音声入出力で行う新サービスを開発した。2020年3月に現場への本格導入、2020年度中には外販も視野にしている。
高砂熱学工業は、音声入出力を備えたウェアラブルデバイス「ヒアラブルデバイス」で知見を有するネインと、建設・保守現場での音声点検サービスを共同開発した。新サービスに合わせ、高砂熱学グループへの早期導入と事業化促進のため、ネインへの出資(新株式発行による資本調達の一部引き受け)も行った。
音声点検サービスは、オープンイノベーションの取り組みアクセラレータプログラム「高砂熱学工業アクセラレータ“just move on!”第2期」で採択されたもの。このプログラムは、スタートアップ企業のアイデアや技術を活用して新たなビジネスやサービスを創出することを目的に、2017年度からスタートしている。
これまで建設・保守現場では、作業員が紙面や図面上の点検項目を目視し、手書きやスマートフォンなどを操作する際は、作業軍手を外して点検結果を記録するなど、その都度、入力や確認作業に手間と時間がかかっていた。
新開発のサービスでは、ヒアラブルデバイスを活用した音声UI(ユーザーインタフェース)により、システムが音声で点検項目を指示。点検結果については、作業員がその場で言葉を発することで結果が文字として記録される。従来方法に比べ、作業効率の大幅な向上と、作業員の負担軽減につながる。
事業化にあたり、グループ会社である高砂丸誠エンジニアリングサービスの保守現場で実証試験を行い、作業員1人あたり月60時間を要していた点検作業のうち、約6時間の削減が認められたという。
実証を踏まえ、改善・改良を加え、2020年3月より同社現場への導入を開始し、同年秋口までに12事業所、さらに2022年秋口には38事業所での適用を目指す。
また、グループ内の導入だけでなく、2020年度中には建設や保守分野を対象に、ネインとの共同外販に着手し、2022年度末には1500ライセンス、翌23年度末には2600ライセンスの販売を目標に掲げる。
高砂熱学工業では、音声点検サービスにとどまらず、生体情報のセンシング機能を搭載したネインのヒアラブルデバイスを用いて、作業員の体調管理や行動分析など、建設分野でのサービス用途拡大やパーソナル環境制御による高付加価値空間提供へ取り組んでいくとしている。
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