高砂熱学工業は2019年4月から、60〜65歳までの選択定年制や年齢給の廃止などを盛り込んだ“新人事制度”を導入する。
高砂熱学工業は2019年4月から、4つの改革を柱とした「新人事制度」を導入する。この制度改革は、同社が中期経営計画で掲げる“iNnovate on 2019 just move on!”「成長に向けた変革の断行」で社是に定める「人の和と創意で社会に貢献」に沿って行う。
改革の柱となるのは、「65歳選択定年制度」による定年延長、さまざまなコースでのキャリアアップを可能にする「複線型人事制度」、多様な業務経験により社員の成長につなげる「キャリアパスの体系化」、年齢給を廃止して能力や役割に応じた賃金体系に変更する「等級・報酬・評価制度の改定」の4点。
企業にとって、多様な人財を生かすことが会社の成長を左右する昨今、今回の人事制度改革は、これまでの等級制度、報酬制度、評価制度を抜本的に見直す。年齢ではなく、社員が生み出す「付加価値」を評価し、社員の成長(部下育成)を促して、やりがいを高めることで、会社のさらなる成長を達成することを目的としている。
4つの柱のうち、定年延長は、年金受給年齢の段階的引上げやライフプランの多様化を踏まえ、社員個々の人生設計に柔軟に対応できるように、定年退職を60〜65歳の間で選択可能とする。
複線型人事制度は、組織をマネジメントする管理職だけでなく、専門職についても、部長職より上位の職位(技監・フェロー・エキスパートなど)へのキャリアアップを認める。全社員が、上位職位に向けた将来のキャリアビジョンを描けるように制度を見直し、やりがいおよびモチベーションの向上を図る。加えて、高度な専門スキルを持つ人財を確保するべく、「高度専門職(年俸制)」も新設する。
キャリアパスの体系化では、多様な業務経験を通じた人財の育成と、長期的かつ全社最適の視点で人財配置を行うべく、キャリアパスを体系化。具体的には、組織間の異動などのジョブローテーションを推進することに加え、新たに短期的な業務経験を行う海外トレーニー制度を導入し、社内でさまざまな業務経験を可能にする。
等級制度・報酬制度・評価制度の改定は、これまでの年齢や労働時間ではなく、生産性を上げ、限られた時間で、より多くの付加価値を生み出した社員が評価されるように、職能給と年齢給で構成する現行の給与体系から、年齢給を廃止して、新たに「役割給」を採り入れる。
その他、「働きやすさ」「モチベーション向上」に向けた施策としては、まずキャリアパス体系化に伴って発生する異動に対する支援策で、「家族帯同支援制度」「単身赴任者の帰省支援」を実施。また、仕事と家庭の両立支援や有給休暇の取得推進の一環として、1時間単位での年次有給休暇を取得可能にする「時間単位有給制度」「男性育休取得」を推し進める。
さらに、若手社員のモチベーション向上の観点から、2020年4月入社の新入社員から「初任給の引き上げ」と「若手社員の給与水準引上げ」を行う。
新人事制度に併せ、2019年4月1日付で、中期経営計画“iNnovate on 2019 just move on!”「成長に向けた変革の断行」の実現に向けた機構改革も行う。本社に「経営戦略本部」の新設をはじめ、人事部に「健康管理室」、事業統括本部に「働き方改革推進室」を移管するなど、新人事制度も見据えた組織変更を実施する。
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