HiLの本格始動に先立ち、2019年9月25日に都内で開かれた発表会で、ワールドハウジングクラブ代表取締役の横田有平氏は、「いまは大手ハウスメーカーを含め、誰もが次のステップを模索している時代。そうしたとき、住宅産業は本来、地場産業であるべきで、地方のビルダーが役立つ商品を提供していかなければならない。その一つが2017年から商品開発を進めてきたKIT HOUSEの“未来パネル”にあたり、これが業界再編の契機になるかもしれない」とその意義を語った。
HOME i LANDの解説で常務取締役の新沼教之氏は、「コンセプトはハイルにハイルで、日本で成功しているビルダーの商品がオリジナル商品として、定額で購入できるのが一番のメリット」と強調。
サービスローンチの背景には、「人口減少は住宅そのものの着工棟数を減らすだけでなく、2000年には64万人いた大工が2030年には21万へと3分の1にまで減少し、絶対数が不足する。また、ここ最近の異常気象に伴い、熱中症は37%が家の中で発生し、このうち約半数は65歳以上が占めている。こうした社会課題を解消するには、“工場生産と現場の省力化”で作れる高性能な家が不可欠だと思い至った。住宅建材を最高基準でありながら、施工を簡略化する工場生産のパネル化にして、現場では組み立てのみとした。家の中では、スマートフォンで玄関の開閉や民泊にも対応したスマートキー、世界とつながる未来窓などのIoTで、住む人が幸福感を感じられるような家を目指した」。
地方のHiLユーザーにとっては、「住宅プラットフォーム上には常に最新の住宅部品が加わり、月々5万円で好きな商品を自由に選び販売することができる」と、大手ハウスメーカーとの差別化につながる優位性を強調した。
次の展開としては、進行中のプロジェクト「HiL+(ハイルプラス)」を紹介。その一つ「HACOBASE」は、完全工場生産の木造コンテナハウスで、2020年のスタートアップに向けて開発が進められている。HACOBASEは、家タイプと小屋タイプの2つのラインがあり、別荘やホテル、下に車輪がついたトレーラーハウス、災害時の仮設住宅など、多様な用途が想定されている。販売は、ビルダーにではなく、直に消費者へ提案していくという。
HACOBASEを含めたHiL+の構想は、「もっとサブスク」と位置付け、訴求力の高い動画や共同購入の輸入部材、モデルコーディネート、営業研修といったビルダーが住宅を販売していく上で、有用となるより広範なサービスが検討されている。
商品開発統括部 部長の東克紀氏は今後のビジョンで、「現在工場での生産は月産36棟を見込み、3年をめどに全国30工場まで広げていくつもり。住宅の価格は年収400万円前後の消費者でも手が届く、約1600万円を想定しており、ビルダーには3割の利益が残ることが見込まれる。2020年度に50棟、2021年度に1000棟、2025年度にはHACOBASEを含めて2万棟を目指したい」と展望を示した。
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