建機自動化の現在地とその先に――【後編】:ゲーム機の様に建機作業ソフトを入れ替える拡張性建設・測量生産性向上展2019(3/3 ページ)

» 2019年08月23日 06時17分 公開
[谷川整BUILT]
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CATのNGHで、センサー後付けや改造が不要に

 その成果を受けて、実験したのが今回の2018年版のT-iROBO Breaker。2014年時点で使ったプログラムをフル電子制御化したNGHに投入し、問題なく動作することを確認した。NGHでは、従来必須だったセンサーなどの外付け機器の追加や改造は不要となった。

Cat320NGHへの応用
T-iRobo Breaker(2018年)への展開
T-iRobo Breaker(2018年)の実験風景

 また、別の実験として、土砂の掘削・積み込み作業では、現場で多く利用されるバックホウとダンプトラックの複数建機を協調させ、自動化の連携作業も成功させている。現場ではバックホウを無人、ダンプを有人で運用。ポピュラーな土砂ピットを再現したフィールドにLiDARセンサーを配置し、ピットとバックホウ、ダンプをそれぞれ認識できるようにした。

 一連のアルゴリズムについて、「開始ボタンを押すとバックホウがピットから土砂を抱え、待機状態になる。現地にダンプが進入すると、LiDARセンサーがその場所を調べ、積み込むのに適切な位置にあればホーンを鳴らして合図する。ホーンを受けてバックホウは積み込み動作と、荷崩れを予防する山崩しを行い、満載になるまで積み込みを継続する。最終的にはホーンが2回鳴り、ダンプが退出する。実証実験では、タイヤ式と履帯式への連携作業という異なる2つの運搬車両を対象にして、自動積み込みも行った」と説明した。

 今後の展望については、「建設業は人手不足の話題であふれている。そうした事態を解消する自動化技術は、今後さらに建設業に求められることが予測される。そのためには、建設業だけでなく、ソフトウェアメーカーやITベンダーと連携して開発を進め、実際の建設現場に適用できる自動化技術の早期実用化を目指したい」とまとめた。

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