キャタピラーと大成建設は、割岩や土砂の掘削・積み込みを自動化する技術開発を進めている。先立つことキャタピラーでは、Next Generation Hexと位置付ける次世代IoTショベルを2017年に発売。同機種の市場投入を機に、これまでの開発方針を転換させて、断続的な機体のフルモデルチェンジから脱し、ガイダンスやアシスト機能などを年次アップデートさせていく、デジタルプラットフォームを構築した。
キャタピラージャパンと大成建設は、建設産業を対象にした最先端の製品・サービスが一望できる「第2回建設・測量生産性向上展2019」(会期2019年5月22〜24日、幕張メッセ)で、ショベルのフル電子制御化がもたらす自動化施工に関する前後半の2パートから成るセミナーを開催した。本稿では、前編として、キャタピラージャパンの「次世代ショベルのデジタルプラットフォームの可能性〜進化し続けるスマートショベル〜」と題した講演をレポートする。
キャタピラーの次世代油圧ショベルは、2017年9月に発売した「Cat 320 Next Generation HEX(NGH)」。国内の油圧ショベル市場の約3割を占める20トンクラスに属する機体であり、同クラスの他機種と同様に、土木工事以外でも、廃棄物処理、解体などの幅広い現場に向けたマーケティングを展開している。
一般的に、ショベルのモデルチェンジは新たな排出ガス規制に沿う形で、3〜4年ごとに変更される。例えば、過去の320Dから320Eの機種変更は、それぞれ国内の排ガス基準改正の2006年と2011年に沿って、その対応に主眼が置かれていた。だが、NGHへのモデルチェンジは、コンセプトそのものが従来機とは異なり、排ガス規制への対応だけでなく、つまりエンジン改良がメインではなかった。
キャタピラージャパンの担当者は、「NGHの目的は、最新の排ガス2014年基準を踏まえるだけではなく、ICT機能を盛り込んだ次世代型の油圧ショベルを開発することだった。油圧ショベルにおける“デジタルプラットフォーム”の構築を目指した」と説明する。
デジタルプラットフォームとは、油圧ショベル向けに用意された多様な機能のアプリやプログラムを追加導入することで、生産性や安全性を高めるデジタルの枠組みを指す。
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