このようにハローワークで建築・土木・測量技術者の有効求人倍率が急速に高まり、就職件数が激減している背景となる人材の需要と供給の状況を見ると、景気回復を背景に、2011年以降は企業からの新規求人数が増加傾向で推移しているのに対して、建設技術者として働きたいという求職者数は2009年をピークに減少の一途を辿(たど)っている(図表3)。
建設技術者の求職者数が減少する要因としては、建設業が3K(きつい、汚い、危険)のイメージがいまだに強く、職場として敬遠する人が多いことに加え、1996年以降は生産年齢人口(15〜64歳の人口)の減少傾向が続き、8700万人(1996年)から7500万人(2018年)へと1200万人も減少していることが大きな要因であると考えられる(図表4)。
厚生労働省の「一般職業紹介状況」を活用することで、建築・土木・測量技術者の有効求人倍率が急速に上昇し、今までに経験したことがないような人手不足の状況になっていることが分かった。また、景気回復を背景に企業の求人数は増加するも、生産年齢人口減少の影響もあり、求職者数が減少し続けていることが、深刻な人手不足の要因であることも把握できた。
このように、労働力の需給動向を把握することができたが、これはあくまでもハローワークに登録された求人数と求職者数をベースとしたものであることに注意が必要である。現在では、求人広告や求人サイト、有料人材紹介会社などを利用して転就職する人も増加していることを念頭において、多様な視点から現状の労働市場を把握することが必要だと考えられる。
ヒューマンタッチ総研(所長:高本和幸)
ヒューマンタッチ総研は、ヒューマンホールディングスの事業子会社で、人材紹介事業を行うヒューマンタッチが運営する建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析を行うシンクタンク。独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信を行っている。
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