下水道光ファイバーで深さ2m以上の地中空洞可視化へ、鹿島など5社が開発に着手スマートメンテナンス

鹿島建設など5者は、国土交通省の2025年度「上下水道科学研究費補助金」に採択され、下水道光ファイバーを活用した地中空洞化調査技術の開発を開始した。

» 2025年06月02日 19時00分 公開
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 鹿島建設は2025年5月29日、NTT東日本、東京大学生産技術研究所、東京都下水道局、東京都下水道サービスと共同で、下水道光ファイバーを活用した地中空洞化調査技術の開発に着手したと発表した。国土交通省の2025年度「上下水道科学研究費補助金」の採択を受けて実施する。地下空洞化を早期に検知することで、道路陥没を防止し、地域の安全確保を目指す。

光ファイバーを用いた地中空洞検知イメージ 光ファイバーを用いた地中空洞検知イメージ 出典:鹿島建設プレスリリース

 高度経済成長期に整備されたインフラ設備の老朽化が進む中、国土交通省の調査によると、2022年度の埋設管の損傷などによる道路陥没は年間で1万件を超える。道路陥没の起因となる地中空洞の早期検知が喫緊の課題となっているが、従来の電磁波レーダ探査では、深度2メートル以上にある空洞を把握することは難しいとされている。

 今回の研究では、通信用/下水道用の光ファイバーケーブルを用いたセンシングによって、地盤振動特性の変化から深度2メートル以上の異常を検出するモデルの構築と評価を実施する。

 研究は2025年7月から2028年3月まで実施予定。NTT東日本が光ファイバーセンシングデータの収集と検知モデルの構築/実証を担う。東京大学生産技術研究所は空洞化のメカニズム研究とモデル実験、鹿島建設は地盤工学に基づく解析や振動/歪センシング、実験設備の構築を担当する。東京都下水道局は維持管理ノウハウを活用し、空洞調査の評価や実証フィールドの選定を行う。東京都下水道サービスは下水道光ファイバーケーブルの運用ノウハウを活用して技術支援を行う。

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