セミナー後半では日本大学で実施した超高強度・高強度コンクリートの解体実験についても紹介された。この実験は、現在の圧砕技術で、1メートル角の超強度コンクリートを壊せるかを検証したもの。試験体のコンクリートは、呼び強度21、56、100、150ニュートン/平方ミリといった4種類の強度を使用した。
解体には、最大油圧350キロパスカルのコベルコ建機製油圧ショベル「SK350LC」に、先端破壊力1600キロニュートンの日本ニューマチック工業製「SV-47X(R)」をアタッチメントとして装着したものを用いた。
結果は、呼び強度21ニュートン/平方ミリのものは、重機による一回のかみ砕きで破壊。呼び強度56ニュートン/平方ミリ以上の3つの試験体は、同じ所要時間で解体できることが判明したという。
「この実証試験で、重機を操作したオペレーターは、呼び強度100、150ニュートン/平方ミリのコンクリートは石と同じ感覚だと述べ、呼び強度56ニュートン/平方ミリのものは粘りがあって手強かったと言っていた。立ち会った作業管理者は、今回の1.2立方メートルクラスの重機は対応できたが、0.7立方メートルクラスでは壊せなかったかもしれないと漏らしていた」(湯浅氏)。
カッター工法とワイヤーソー工法による超高強度・高強度コンクリートの解体実験で分かった機器に与える負荷や騒音についても説明。
両工法とも呼び強度70ニュートン/平方ミリのコンクリートの解体は、普通強度のコンクリート解体の騒音と同様であった上、破壊は容易に行えた。
呼び強度100ニュートン/平方ミリ以上の超高強度コンクリートを解体する場合、両工法とも機器への負荷は大きくなるが、騒音や振動は小さく、圧砕工法よりも優位性があったという。
湯浅氏は、「超高強度・高強度のコンクリートの解体で日本大学が推奨するワークフローは、まず、現場で、両工法のいずれかで対象部材をトラックに積み込み可能なサイズに切断し搬出する。その後、部材のままリユースするか、作業場で圧砕・破砕・分級の上、高級品質のリサイクル材として活用することを提案している」とコメントした。
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