三井不動産が施主で、竹中工務店が設計・施工を担当した「三井ショッピングパーク ららぽーと名古屋みなとアクルス」で、AIによる空調制御システムが導入された。来場者数をクラウド上のAIで予測して、効率的な外調機の運用などに役立てる。
三井不動産と竹中工務店は、愛知県名古屋市の大型商業施設「三井ショッピングパーク ららぽーと名古屋みなとアクルス」で、AI技術を利用した省エネルギー空調制御システムを導入したことを明らかにした。
国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に採択されたこのプロジェクトは、地域全体の最適化を目指すエネルギーマネジメントの先導的な取り組みとして、来館者情報に基づく、需要予測や空調制御などの効果が期待されている。
従来型の空調システムにAIを採り入れることで、施設内外の環境や来館者の服装といった各種データを検知・解析し、快適性の向上を図りながら、年間30%以上ものCO2排出量の削減を見込む。
具体的には、人のたまり場となる吹き抜け空間やフードコートのカメラ画像を解析し、活動量を計測する他、館内に設置したサーモカメラの画像で、来館者の服装(半袖・長袖・厚着など)を推定する。人体の熱的快適感に影響する6つの要素(室温、平均放射温度、相対湿度、平均風速、着衣量、作業量)から算出される指標「PMV(Predicted Mean Vote)」を考慮した空調制御を行う。
また、来館者の年齢や性別も画像から推定して、来館者の特性に合わせた快適な空調も提供する。
館内人数データや天気予報、イベント開催の各種情報からは、AIで館内人数の増減を予測する。館内のCO2濃度が基準値以内に収まる範囲で、最も効率的となる様に外調機をコントロールして外気を取り込む。例えば、来館者が多いと予測される日は、事前に外気を多く導入することで、ピーク時(来館者の多い時間、外気の温湿度が高い時間)の外気導入量を低減させるという仕組みだ。
さらに天気予報、外気温湿度、館内人数予測、イベント情報といったビッグデータも活用して、翌日のエネルギー需要も算出。これを基に館内エアコン(GHP・EHP)の冷媒蒸発温度を最適に稼働させることで、エアコンの超高効率な運転制御が実現する。外部入力を受け、GHPの蒸発温度を可変させる制御は、日本初の試みだという。
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