大成建設と日揮グローバルは、福島県浪江町で、建設用3Dプリンタを活用した柱/梁/スラブ一体型大型PCa部材の製作/施工技術に関する実証実験を実施した。
大成建設は2026年5月20日、日揮グローバルと共同で、建設用3Dプリンタを活用し、柱/梁/スラブの型枠を一体で造形した大型プレキャスト(PCa)部材の製作/施工技術を実証したと発表した。
大成建設によると、土木学会が2025年7月に発刊した「建設用3Dプリント埋設型枠を用いたコンクリート構造物の技術指針(案)」に基づき製作、施工を行った初の事例となる。
PCa工法は省人化や工期短縮に有効とされる一方、プラントやインフラ分野で構造物の大型化/複雑化が進む中、部材数増加に伴う接合作業の手間や精度管理の煩雑化が課題となっている。
今回の技術では、従来は個別に製作、接合していた柱/梁/スラブPCa部材を、3Dプリンタで造形した型枠を用いて一体製作することで、部材点数や接合作業を大幅に削減できる。省人化や工期短縮を図ることで、将来の目標として、人工50%削減、コスト15%削減を目指す。工程簡素化により人力作業や高所作業を低減し、施工性や安全性の向上にもつながる。
異なる企業が開発した装置と専用材料を組み合わせた場合でも、従来工法と同等以上の品質を確保できると確認した。
また、建設地近傍で部材を製作する「ニアサイトプリント」により、大型部材を輸送制約なく製作できる点も特徴だ。調達期間の短縮や施工リスク低減に加え、現地調達材料の活用によるコスト低減効果も見込む。さらに、自由度の高い型枠造形は、配管や周辺設備との干渉が多いプラント支持架構など、複雑な条件を持つ構造物にも柔軟に対応できる。
実証では、実大規模の一体型PCa部材について、施工性、品質、耐久性を総合的に検証した。設計通りの形状や強度を確保できることを確認。工程短縮や作業負荷軽減の効果を実証した。
大成建設は、建設用3Dプリンティング技術「T-3DP(Taisei-3D Printing)」を開発し、自立安定性や耐久性に優れた専用材料や施工技術に関するノウハウを蓄積してきた。日揮グローバルはこれまで、デンマークのCOBOD International A/S製の大型ガントリー型セメント系3Dプリンタを導入し、国内外で実証を重ねてきた。
プラント分野にとどまらず、基礎構造物やインフラ構造物への展開が可能で、建築/土木分野への幅広い応用が期待されるという。今後は、技術の高度化と標準化を進めるとともに、国内外の建設プロジェクトへの展開を図る。
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