セレンディクスは、大阪・関西万博で建築したモデルと同一仕様の3Dプリンタ住宅「serendix5」シリーズのキットを発売した。壁パーツを組み合わせたシンプルな構造で、330万円から提供する。セレンディクスは万博以降、住宅ローンを無くすことを掲げており、低価格のキット販売により「より手に届きやすい価格」で3Dプリンタ住宅の提供を実現させる。
セレンディクスは2025年12月、3Dプリンタ住宅「serendix5」シリーズのキットを発売した。大阪・関西万博で使用したモデルと同一の仕様で、3Dプリンタで出力した50平方メートルの壁部材10パーツと建築マニュアルで構成し、価格は330万円〜(税込み)。販売地域は北海道を除く全国で、建築業者向けにも提供する。
serendix5シリーズは、壁パーツを組み合わせるシンプルな構造で、標準工期は約24時間(3日間)。屋根はオプションで金属屋根や木造屋根を選べる。
建築面積は30平方メートルから最大約200平方メートルまでで、間取りは自由設計。スクエア型の外観デザインを基本としつつ、建築士監修のもとでの意匠変更や建築業者によるオリジナルモデル開発にも対応する。
建物本体工事をはじめ、電気や給排水工事など有資格者が必要な作業は専門業者が担い、内装など施主自身が可能な部分はDIYで楽しみながら費用を抑えて施工する「ハーフビルド」も可能だ。施工サポートは原則リモートで提供し、電話相談は無償。現地での直接指導はオプション扱いとなる。
キット部材や建築マニュアルに起因する不具合はセレンディクスが保証する。一方、施工に関するトラブルは施工者の責任範囲としつつ、施工方法に関するサポートは提供する方針だ。
セレンディクスは2022年3月にファーストモデル「serendix10(セレンディクステン)」を作業延べ23時間で完成させて以来、3Dプリンタによる建設技術の開発と実用化に取り組んできた。
2024年9月には能登半島地震の被災地となった石川県珠洲市で、2人世帯向けの「serendix50(セレンディクスゴジュウ)」を供給した。しかし、被災者からは人手不足などから建築費用が高騰し、引き続き住宅再建が困難な状況が続いているため、「親戚や知人業者などへ自ら手配するので、部材だけ提供してもらって建てられないか」という要望が複数寄せられた。そこで施主自身が施工手配を行うことで、建築費用を削減できる新しいスタイル「キット販売」を開始することとなった。
セレンディクス Co-Founder(共同創業者)CTO 飯田國大氏は、「住宅金融支援機構の2025年4月の調査で住宅ローンを新たに借りた人のうち、返済期間が35〜50年の人の割合は25.5%と、前年同期比で9.5%増加しており、50年ローンが新たな流れとなり始めている。当社は全ての人から長期に渡る住宅ローンをなくすことを目指してきた。今回の3Dプリンタ住宅のキット販売は、購入者自身が施工に関与することで建築費問題に新しい選択肢をもたらす」とキット販売の意図を説明する。
特に能登半島地震で被災した地域では、建築費の高騰が深刻な社会問題となっているため、「当社の技術とシンプルな構造により、手の届く価格で質の高い住まいを提供し、復興の一助となることを願う」と期待を込める。既に石川県では、6棟の購入希望があったという(2025年12月時点)。
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