Workplace Insight AIは、図面や写真、アンケート、経営資料などの非構造データを含む多様な情報を一括で解析し、オフィスの課題や改善ポイントを構造的に抽出する。類似事例との比較や改善による効果予測、ROI(投資対効果)の試算までを自動化。経営層や総務部門に対し、実効性の高い判断材料を提供する。
八木氏は、「これまで専門家が担っていたオフィス最適化の提案を、施設管理担当者が自らできるようにするのが狙いだ」と説明。AIが定量/定性データを統合分析して「ありたい姿」とのギャップを可視化し、担当者は提示された改善案に対し、「なぜ必要なのか」という根拠の確認や、「限られた予算内で優先すべき施策は何か」といった具体的な相談をチャット形式で繰り返すことが可能だ。八木氏は「担当者自身が専門的な知見を深めながら、根拠に基づいて意思決定を進められる“伴走型”の仕組みだ」と強調した。
Space Matching AIは、在席情報や行動傾向、利用履歴を基に、空席や利用可能スペースをリアルタイムで判定して利用者に案内する。予約されているにもかかわらず使用されていない場所をセンサーで検知し、自動的に予約を解放。需要に応じて再配分を行うことで、会議室不足や席探しのストレス軽減、空間稼働率向上を図る。さらに、利用者の前後の予定や参加メンバーの状況、必要な備品なども考慮し、最適なリソースを提案する。
八木氏は、「フリーアドレスの普及により、会議室だけでなく座席やモニターなどの備品まで予約対象が広がり、リソース不足が課題となっている」と指摘。物理空間とデジタルデータを連動させることで、「AIが未使用予約を即時に解放し、必要な人に瞬時に割り当てる。働く人が予約作業に費やしていた負担を減らし、本来の業務に集中できる環境を実現したい」と、従業員の体験価値向上と効率化の両立ができる仕組みだと語った。
AIソリューション群は課題に応じて個別導入も可能。開発段階から実証を重視し、30件超のPoC(概念実証)を経て構築した。
Facility Portfolio AIとWorkplace Insight AIは2026年7〜9月ごろ、Space Matching AIは2026年10〜12月ごろのローンチを予定している。
発表会では、AIを経営の中核に据える考え方として、社内外の活用を循環させる「無限ループ型のAI進化モデル」も提示された。社内活用で得た知見をサービスに即座に反映し、顧客企業での活用成果を再び自社の開発へ取り込むことで、サービスの継続的な高度化を図る。AIを軸に「顧客の働き方改革」と「自社の働き方改革」を連動させ、価値創出を加速させる構想だ。
現在、イトーキでは基幹業務や生産、デザイン、営業活動に至るまで、多様な領域でAI活用を進めている。湊氏は「AIの普及で営業やデザイナーが不要になるわけではない。各社に合わせた提案には人間にしか分からない領域があり、それこそがイトーキの付加価値だ」と説明した。
また、「特許取得/出願のうち約24%がAI関連で、件数は50件を超える。自社開発の積み重ねは将来必ず強みになる」と述べ、AIを軸に競争力を強化する方針を打ち出した。
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