前田建設工業は、シールドトンネル工事でセグメントを地上から切羽まで自動で搬送する「セグメント自動搬送システム」を開発し、大断面シールド工事で実証運用を開始した。2027年度からの本格導入を予定している。
前田建設工業は2026年10月28日、シールドトンネル工事でセグメントを地上から切羽まで自動で搬送する「セグメント自動搬送システム」を開発したと発表した。大断面シールド工事で実証運用を開始しており、2027年度からの本格導入を予定している。
近年の大規模シールドトンネル工事では、長距離化や大深度化、高速化に伴い、資機材を効率的かつ確実に供給する物流システムの重要性が高まっている。特にセグメント搬送は多くの作業員や設備が関与するため、省人化や省力化、安全性向上が課題となっている。
前田建設工業が開発したセグメント自動搬送システムは、地上から切羽までに配置した複数の搬送設備を統合制御し、設備間の受け渡しを含む一連の搬送工程を自動化する。セグメント物流の全自動化により、搬送に必要な作業人員を削減するとともに、搬送設備周辺への作業員の立ち入りを抑制する。重量物と作業員の接触リスクを低減して安全性を高める他、オペレーターの経験や熟練度に左右されない安定した搬送作業を実現する。
トンネル坑内のセグメント搬送には、従来のレール式に代わりタイヤ式の搬送車を採用した。レール式よりも高速な搬送が可能で、積荷時に時速15キロ、空荷時に時速20キロを実現。枕木やレールの敷設作業を省略でき、工期短縮につなげる。
セグメントには、工場出荷時に固有の識別情報を付与したARマーカーを貼り付け、現場への搬入時に読み取ることで受け入れ検品と搬送指示を自動化する。ARマーカーはQRコードと比べて読み取り精度が高く、読み取り速度も速い他、遠くからでも認識でき、複数の読み取りが可能な点も特徴だ。搬送経路の要所に設置した定点カメラでマーカーを画像認識することで、任意の箇所で検品可能できるため誤搬送を防止する。
搬送設備の稼働状況や警報情報、セグメントの位置情報は中央管理室でリアルタイムに一元管理し、搬送工程全体を可視化して安全かつ効率的な運用を実現する。さらに、セグメントの位置情報や搬送履歴を記録、管理することで、施工管理の効率化とトレーサビリティーの向上を図る。
前田建設工業は今後、実運用を通じて搬送ロジックや設備制御を最適化し、搬送サイクルの短縮とより効率的で安定した運用の実現を目指す。また、中小口径シールド工事への部分適用など、施工条件に応じた柔軟な展開も検討し、システムの適用範囲拡大を図る。
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