清水建設とGEOTRAは、都市開発エリアの滞在人口を時間帯別/属性別に高精度で推定可能なシミュレーションモデルを開発した。
清水建設は2025年11月12日、GEOTRAと共同で、機械学習を用いて都市開発エリア内の滞在人口を時間帯別/属性別に高精度に推定できるシミュレーションモデルを開発したと発表した。
従来は国土交通省の「大規模開発地区関連交通計画マニュアル」に基づき、用途別床面積に全国一律の係数を掛け合わせて滞在人口を予測していたが、地域特性を十分に反映できず、予測結果が実態と比べて過大になる傾向があるという。
新モデルは、膨大なトリップデータと多様な都市データを活用し、機械学習により構築。トリップデータは、携帯電話のGPS位置情報や性別、年齢などの個別情報、都市データは、エリア内の建物用途別床面積に加え、鉄道駅/バス停などの交通施設、周辺道路面積、地価などの諸条件を統合してデータ化した。
都市開発前後の滞在人口の変化を、平日/休日、時間帯、来訪者の属性(居住者/勤務者/来街者)別に分析可能で、まちづくりや都市計画の初期段階から定量的な根拠に基づく合意形成が図れる。
シミュレーションでは、対象エリアの複数の開発案に対し、建物用途や床面積などを入力することで開発前後の滞在人口を推定、比較できる。平日/休日の他、朝/昼/夕/夜の時間帯別や属性別の割合も把握でき、開発方針に沿った計画の策定が可能だ。
交通行動分析を専門とする東京理科大学 創域理工学部 社会基盤工学科准教授 柳沼秀樹氏の監修の下、「交通・防災・観光データ分析プラットフォーム」開発プロジェクトの一環として開発した。今後はプラットフォームの標準ツールとして新モデルを運用する他、清水建設のまちづくり計画支援サービス「マチミル」にも新たなメニューとして追加する。
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