ANDPAD BIMサービスは、BIM活用の課題解決を目的とした2025年7月開始の新たなコンサルティングサービス。設計段階でのBIM活用だけでなく、施工計画や施工図作成、現場運用などを対象とした包括的な支援を提供する。
アンドパッドがBIMコンサルに乗り出した背景には、ANDPAD BIMユーザーから、「生産設計まではできているが、職長や現場監督が足場計画などで使いたいようにBIMデータができていない。BIM導入から本格運用、施工図の作成支援まで、状況に応じたきめ細かな支援をしてもらいたい」との要望が寄せられたことがきっかけとなった。こうしたニーズに対応する形で、BIM導入から、現場単位のスポット活用、BIMモデル作成、機能開発までを含む総合的な支援体制を整備した。「施工BIMができていない」「人手不足でBIMマネジャーがおらず現場で扱えない」などスーパーゼネコンから準大手、小規模まで、各社それぞれのBIM活用状況に応じたメニューを用意している。
BIM未導入企業には、高額なBIMソフトウェアを購入する前に、“てぶら”でできるBIM検証を実施する。施工図をもとに足場や基礎のBIMモデルをアンドパッド側で作成し、ビュワーのANDPAD BIMで現場監督がBIMモデルを使ってみて、どのぐらい効率化するのかを定量と定性で実感してもらう機会を設けている。
次の導入段階では、現状の課題などを抽出して支援内容をアレンジし、演習や講習、テンプレートと運用ルールの整備などで10〜12カ月伴走支援する。さらに、設計部から生産設計部へなど部署を横断したデータ連携、BIMマネジャー育成など、導入だけで終わりではなく目標設定によってはその後のBIM活用の社内定着までもカバーする。
これまでに10社ほどの実績があると話す、執行役員で社内研究開発組織「ANDPAD ZERO」のディレクターも務める今井亮介氏は、「2Dの計画図や資料から、“計画通り”にBIMを作ってもらいたいという要望が多い。しかし、当社の担当はゼネコンの施工管理やBIM推進の出身者が担っており、計画のままだと納まりに不具合が生じる箇所を適切に指摘したり、LOD(詳細度)も現場が本当に求めるレベルでこちらから提案したりしている。単なるBIMオペレーターの派遣ではない、現場目線のBPOサービスとして評価されている」と他にない特長を語る。
オペレーターだとBIMの操作はできるが、現場の知見がないため、職長らとのコミュニケーションが成り立ちにくい。言われたままモデリングしたのでは、現場での利用を想定していないため、使えないものが出来上がって、手戻りが発生してしまいがち。間にアンドパッドが入ることで現場の要望をすくい取り、現場も満足のいくデータ制作まで完遂できる。
ANDPAD BIMサービスは、ANDPADユーザー以外も対象とした独立したサービスの位置付けとなっている。そのため、BIMモデル作成のみのスポットから、協力会社も含む継続的なBIM活用までをカバーする3種類のプランを用意している。各プランは、施工計画資料からBIMモデルの作成や工区ごとの数量算出をする「ライトプラン」、整合性や納まりについてゼネコンでBIMマネジャー経験があるアンドパッド担当者とのQ&Aを追加した「ベーシックプラン」、検討BIMモデルの作成や協力会社との計画検討、詳細BIMモデルや申請図の作成まで請け負う「プレミアムプラン」がある。
さらにオーダーがあれば、カスタムの機能開発にも対応する。先行利用した大成建設とは、BIMとANDPAD図面がデータ連携した配筋検査のプロダクトを開発。BIMデータから出力した配筋のデータを選択するだけで検査が完了し、AIで黒板作成や図面登録も省力化する一連のワークフローを現場検証した。
今井氏は「BIMは黎明期を過ぎ、いまは現場実装期に入り、現場単位で予算がある程度は決まってしまっている。そのためサービス料は、地場ゼネコンにはBIM人材自体が不足しているので年間サポート、詳細検討まで必要ならプレミアムなど、各社の状況に合わせてBIMを持続可能な予算感で提示している。今後はテンプレート整備の先に、BIMの国際規格ISO 19650取得の支援を求めるリクエストも出てくるはずなので、ISOで示しているBIMプロセスの事前整理などにも応じていきたい」と展望を明かした。
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