ヒューマンリソシアは、建設業界の人材不足の見通しと海外人材活用の実態を建設従事者345人にアンケート調査し、vol.1として発表した。その結果、59.4%が施工管理職は「5年後さらに人材不足が拡大」と予測。海外人材採用については、BIM/CIMや設計職で8割超、技能工で約9割が受け入れに「前向き」と回答した。
総合人材サービス会社で、建設業向けの人材派遣や海外エンジニア派遣、人材紹介事業を展開するヒューマンリソシアは、建設業で働くビジネスパーソン345人に、人材不足の実態や海外人材活用についてアンケート調査を実施し、その結果を分析した第一弾のレポートを2025年9月29日に公表した。
日本で働く外国人労働者(以下、海外人材)は、2024年10月末時点で過去最高の230万人を超え、労働人口減少が加速する中、あらゆるシーンで海外人材への期待値が高まってる建設業では、就業者は10年間で30万人減少し、高齢化も進展。厳しい人材不足を背景に、建設業で働く海外人材は、2024年10月時点で約18万人に上り、10年間で8.5倍に増えている。
こうした状況を踏まえ、建設業の人材不足と海外人材活用の実態、さらには生産性向上に向けたDX推進への取り組み状況について、建設業で働くビジネスパーソンにアンケートで聞き取った。
厳しい人材不足が続く建設技術職や技能工について、将来の人材予測を聞いたところ、施工管理職では、合計59.4%が5年後に「人材不足が拡大している」と回答。設計職は同50.4%、BIM/CIM活用に必要な人材も同52.8%が「人材不足は拡大する」と予測しており、将来の技術職人材確保への強い危機感がうかがえる。
建設現場で働く技能工や職人はより深刻で、5年後に「人材不足が拡大している」との回答は同66.4%に上った。
人材が不足していると回答した技術職で、海外人材の採用を視野に入れているかをたずねたところ、BIM/CIM活用に必要な人材は、合計85.7%が海外人材採用に「前向き」と答えた。
施工管理職では同84.3%、設計職では同80.3%となった。いずれの領域でも、「積極採用の方針」と回答した人は5割を超え、海外人材に高い期待値が寄せている。
「技能実習」の在留資格での就業者が約11万人に上り、今後も拡大が見込まれる建設技能工や職人では、58.9%が海外人材を積極採用し、87.6%が海外人材採用に前向きとなった。
今回のアンケート結果を受け、ヒューマンリソシアは「人材不足を背景に、建設技術職で海外人材活用への期待値が高まっている一方、既に技術職で海外人材を採用し、今後も積極的に推進するとの回答は、2割程度にとどまっている。採用強化はもちろん、海外人材に日本企業で長く活躍してもらうには、育成や定着への支援が必要で、企業での環境整備の重要性がより高まると推察される」と総評している。
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