本連載では、総合人材サービス会社で建設業向けの人材サービスを展開するヒューマンリソシアが、独自に調査した建設業における人材動向を定期レポートとしてお届けする。建設業従事者の人材動向に関する実態を解明し、建設業各社の採用・定着に向けた戦略を考えるうえで少しでもお役に立てれば幸いである。今回は2024年1〜9月の建設業の給与動向を調査した。
人材不足が続く建設業では、賃上げによる給与アップや新卒給与の引き上げなどの待遇改善に取り組んでいる。そこで今回は、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」のデータをもとに、2024年1〜9月の建設業の給与動向を調査/分析した。
■本レポートの要旨
・2024年9月の建設業の現金給与総額は39万9000円(前年同月比5.3%増)となり、給与額と増加率ともに産業平均の37万3000円(同2.6%増)を上回る
・1〜9月の平均でも建設業は44万6000円(前年同期比3.4%増)で、産業平均の42万5000円(同1.5%増)を上回った
・従業員規模別でみると、従業員数30〜99人の小規模建設業が1〜9月平均で前年同期比9.8%増と最も増加率が高い
・従業員数1000人超の大手建設業では1〜9月平均で前年同期比0.7%減と前年割れ、賃上げには一服感がみられる結果に
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、2024年9月の建設業の一般労働者(フルタイム労働者)の現金給与総額(所定内給与+残業手当+ボーナスなどの特別給与)は39万9000円で、前年同月比で5.3%の増加(図表1、2)となった。調査対象(16分野)の産業平均は37万3000円で、前年同月比2.6%増だったことから、建設業は産業平均よりも現金給与総額が高く、増加率も上回る結果となった。1〜9月の平均でも前年同期比は3.4%増で、産業平均の1.5%増を超え、平均以上の給与水準で推移している。
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