YKK APとパナソニック ホールディングスは、大阪市内のビルでガラス型ペロブスカイト太陽電池を使用した内窓による建材一体型太陽光発電の実装検証を開始した。
YKK APとパナソニック ホールディングスは2025年11月20日、YKK APが入居する大阪府大阪市の「谷町YFビル」で、パナソニックHDが開発中のガラス型ペロブスカイト太陽電池を内窓に適用した「建材一体型太陽光発電」(BIPV)の実装検証を開始したと発表した。
検証で使用するガラス型ペロブスカイト太陽電池は、パナソニックHD独自の材料技術やインクジェット塗布製法、レーザー加工技術を組み合わせて、サイズや透過性、描画の自由度を高めている。建材一体型とすることで多様なガラス仕様に対応し、建築材に必要な耐風圧性能などの基準を満たしながら、太陽電池としての耐久性向上を目指している。
YKK APが開発を進めているBIPV内窓は、太陽電池に適したサッシ枠を独自に設計し、内窓と太陽電池を一体化した製品として開発中だ。従来の「窓で断熱(省エネ)」に加え「窓で発電(創エネ)」を可能にする機能を付加し、高い施工性やメンテナンス性、建物の外観への影響が少ないことなどが特徴。両社の製品特性や独自開発/製造の強みを掛け合わせることで、建物の窓や壁面などへの太陽電池の適用範囲拡大や、太陽光発電の普及促進を図る。
今回の実装検証では、窓のサイズに応じて設置可能なガラス型ペロブスカイト太陽電池を用い、内窓への据え付け方法や施工性を確認する。発電性能の評価および系統連系は対象外としている。また、4種類の異なるデザインを施したガラス型ペロブスカイト太陽電池を用いて、透過性/意匠性/視認性の違いを検証する。
内窓はYKK AP製作で、賃貸物件など既設窓に設置する手法として、木枠(高耐候化木材)による施工方法を用いる。太陽電池はパナソニックHDのガラス型ペロブスカイト太陽電池の試作品を使用。サイズは723(幅)×1080(高さ)ミリ。デザインは、デザイン+文字入り、グラデーション柄、透過性(2パターン)の全4種類。
検証場所は、大阪府大阪市の「谷町YFビル 8階(室内)」で、期間は2025年11月20日から1年程度を予定している。
YKK APは、実装場所の提供やBIPV内窓の設計/製作、設置工事、配線の取り回しまでを想定した施工性の検証に加え、パナソニックHDと共同で、内窓実装時の透過性、意匠性や視認性の確認/評価を行う。パナソニックHDは、サイズや透過性、意匠のカスタマイズ対応を含めたガラス型ペロブスカイト太陽電池(回路非接続の試作品)4種類の製作の他、実装場所への設置/施工設計協力を担う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10