東急建設は、コンクリート材料由来のCO2排出量を大幅に軽減し、カーボンネガティブを実現するコンクリートを開発した。
東急建設は2025年10月6日、コンクリート材料に起因するCO2排出量を実質ゼロまたはマイナスとするコンクリート「ゼロクリート」を開発したと発表した。施工性や耐久性を損なわずに、CO2排出量を100%以上削減する。
コンクリート製造時に発生するCO2排出量の約9割は、主原料であるセメントの製造に起因する。ゼロクリートは、セメント使用量を通常の0〜20%まで抑え、高炉スラグ微粉末や酸化カルシウムなどを主体とした混和材を材料として用いる。さらに、CCU材料として軽質炭酸カルシウムを添加することで、CO2排出量を相殺する。
CO2排出量は同一強度のコンクリートと比べて、実質100%以上削減できるという。品質に関しては、実強度(材齢28日強度)で約50N/ミリ平方メートルの強度発現性を確認。設計基準強度36N/ミリ平方メートル程度まで対応可能だ。CCU材料に使用する軽質炭酸カルシウムには、コンクリート二次製品の工場内で発生する高アルカリ廃水と二酸化炭素を反応させて製造した。
東急建設は、これまでも環境配慮型BFコンクリート「CELBIC」や再生骨材を使用した「CELBIC-RA」を開発し、現場適用を進めてきた。今回の開発過程では、コンクリート二次製品や床材、水質調整材などへの転用の可能性を確認しており、今後は技術拡張により、多様な分野の脱炭素化につなげたい考えだ。
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