1億200万画素で近接目視超え！ AI×ドローンも活用する富士フイルムのインフラ点検DX：メンテナンス・レジリエンスTOKYO2025（3/3 ページ）

[加藤泰朗，BUILT]

1億200万画素の眼を空へ、GFX100S II搭載ドローンによる新時代の点検

　ブースでは、GFX100S IIを搭載した空撮点検用ドローンパッケージも展示した。機体は石川エナジーリサーチの産業用ドローン「ビルドフライヤーchrome」。2010年に本田技術研究所からスピンアウトして設立し、産業用ドローンの開発を手掛けている。機体は全て自社設計で、構成部品の90％以上が国産。量産体制も整っており、安定した供給体制を確保している点も強みの一つだ。

産業用ドローン「ビルドフライヤーchrome」。インフラ点検だけでなく、レーザー測量や災害時の避難誘導や被災地調査など、幅広いシーンでの活躍が期待されている

1億200万画素を持つ中判ミラーレスカメラ「GFX100S II」。超高解像カメラをドローンに搭載することで、送電線など、近づくと危険な場所でも遠くから確実に点検できる

「GFX100S II」の説明パネル

　フレーム素材には、一般的に用いられるカーボンではなく、軽量かつ高耐久なマグネシウム合金を採用。本格的な一眼カメラや測量用カメラの搭載を想定し、最大ペイロード4.4キロで25分飛行する。「マグネシウム合金は軽量で耐久性に優れ、紫外線による強度劣化の心配もない」とブース担当者は説明した。

中空構造を持つビルドフライヤー chromeのアーム。実際に手に取ると想像以上に軽い

Gremsyのジンバル「T7」に搭載されたGFX100S II。GFXシリーズの中で写真目的では最上位モデルに位置する

現場からオフィスへ、そして未来へ　富士フイルムのインフラ点検DX

　今展のブースでは、ひびみっけによる点検効率化、トンネル点検DXソリューションによる省人化とデータ活用、さらに高精細カメラを搭載したドローンパッケージによる広範囲点検と、3つのアプローチを提示した。

　いずれも単体で効果を発揮するだけでなく、組み合わせることで現場データを迅速かつ正確に取得し、オフィスでの検討や修繕計画に活用するという新しい点検スタイルを実現している。人手に依存してきた従来の点検から、データ主導の維持管理へ――。今回の展示は、その転換点を示すものとなった。