東芝は、インフラ/プラント設備の点検業務向けの画像異常検知AIを開発した。ユーザーの曖昧な言語指示をAIが最適化し、正常画像との組み合わせで解析することで、過検知を従来比で約半分に抑制できる。
東芝は2025年9月12日、インフラ/プラント設備の点検業務向けに、新たな画像異常検知AIを開発したと発表した。現場で使われる曖昧な言語指示をAIが最適化し、正常画像と組み合わせることで、過検知を従来の約半分に抑制できる。
国内では高度経済成長期に整備された道路や橋梁(きょうりょう)などの老朽化が急速に進み、点検業務の効率化が求められている。危険箇所やへき地ではドローンやロボット、固定カメラなどで撮影した画像をAIで解析し、変状箇所を自動検知する手法が期待される。
東芝は従来、数枚の正常画像と比較して変状箇所を見つける「差分検知型画像異変検知技術」を開発してきたが、背景や周囲の構造物が複雑な画像では、過検知の抑制に課題があった。
そこで近年注目されているAIモデル(Vision-Language Model:VLM)に着目。画像検知と言語指示による検知の手法を組み合わせ、曖昧な指示でもAIが最適化し、柔軟に検知条件を指定できるよう対応した。
過検出率は、従来の「April-GAN」では32.1%、差分検知型画像異変検知では20.7%だったのに対し、新技術では16.1%に抑制できた。用途は太陽光パネルや橋梁の裏面にできたハチの巣や異物/ケーブル断線などの異常の検知、設備のひびやさび、送電線の断線、部品脱落、設備の水/油漏れなどが想定される。
東芝は今後、鉄道システム事業部門やエネルギーアグリゲーション事業部門などと連携し、新技術の点検業務への適用を進める。また、新たなサービスの創出も図る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.