気象庁の3カ月予報で、2025年9〜10月の平均気温は全国的に「高い」と予想されており、厳しい残暑は9月も続きそうだ。しかし、2025年6月には熱中症対策が義務化されたことで、屋外が主な仕事場となる建設業では対応が必須となった。そうした例年とは異なる変化の中、総合レンタル会社のアクティオは「近場/近辺を冷やす」「広範囲を冷やす」「体内から冷やす」「現場環境を管理する」のアプローチで、現場視点での暑さ対策を提案する。
アクティオは2025年7月30日、暑さ対策製品が一堂に会した体験会を千葉県市原市八幡海岸通のアクティオ プラント営業課で開催した。会場には、移動式のクーラーやエアコン、かき氷製造機、冷却テント、熱中症判定のAIカメラなど、重篤化を防ぐ基本的な考えの「見つける、判断する、対処する」に応じる現場の第一線で活躍している製品が集結した。
体験会で上席執行役員 広報部長 進浩氏は、「2025年6月に改正労働安全衛生規則が施行され、熱中症対策が事業者に義務付けられ、暑さ対策は今や不可欠なものとなっている。全国に事業所を展開する総合レンタル会社として対応製品を提供し、建設工事だけでなく一般の催事も含めた“現場”の快適な環境づくりに役立っていきたい」と説明した。
広域営業部 専門次長 長江顕彦氏は市場背景として、さまざまなデータを引用しながら熱中症対策の重要性を訴えた。その1つ、気象庁のデータで気温30度以上の「真夏日」となった年間平均日数をみると、2020〜2024年は2010〜2019年と比較して8日以上も増えている。特に35度以上を表す「猛暑日」は、3.27日から5.78日と倍近く増加。環境省と気象庁が共同発表した熱中症警戒アラートの発表回数も、2021年以降で7〜9月は年々増加傾向にある。
また、厚生労働省のデータで職場の熱中症による死傷者は、2021年を境に右肩上がりで、2024年は1257人と過去最多を記録。中でも建設業は他業種に比べ圧倒的に多く、2024年は961人となった。「死亡者数54人も群を抜いた数字で、過去死亡者の約7割が屋外作業のため、気候変動の影響でさらに増える可能性がある」(長江氏)。
死亡要因のほとんどが、初期症状の放置や対応の遅れにあり(出典:厚生労働省「職場における熱中症対策の強化について」、重篤化させない現場での適切な対策が求められている。
その具体策の第1とされるのが、環境省が提唱する「WBGT(暑さ指数):Wet-Bulb Globe Temperature」の有効活用にある。WBGTは、気温、湿度、日射/輻射(ふくしゃ)、風の要素を基に暑熱環境による熱ストレスを数値で表す指標。環境省では、WBGT値と作業で掛かる身体的負荷(身体作業強度)とを照らし合わせ、適正なWBGT値を0〜4の段階で示している。基準値を超えた場合は、冷房などで涼しい環境を作る、作業レベルを下げる、作業場所を屋外から屋内へ変更するなどの対処が必要となる。
それでも超過する際は、4つの管理で現場環境を抜本的に変える「第2熱中症予防対策」を講じなければならない。4つの管理とは、WBGT値の低減や屋根/休憩場の設置などの「環境管理」、作業時間の短縮や水分/塩分の摂取などの「作業管理」、健康診断などの「健康管理」、高温多湿な現場で作業する労働者向け教育の「労働衛生教育」。
長江氏は「今回の法改正で熱中症の重篤化を防ぐ基本的な考え方は、見つける、判断する、対処するの3ステップ。そのための体制整備、手順作成、関係者への周知が事業者に義務付けられ、違反した事業者には6カ月以下の懲役、または50万円以下、法人にも同額の罰金が科される可能性がある」と忠告した。
そうした見つける、判断する、対処するの3ステップを踏まえ、アクティオは「近場/近辺を冷やす商品」「広範囲を冷やす商品」「体内から冷やす商品」「現場環境を管理する商品」の4カテゴリーで、多様な使い方に応じられる製品群を提案する。
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