natと寿建設は、3Dスキャンアプリ「Scanat(スキャナット)」を土木/インフラ分野に適用した新ブランド「Scanat-D」を立ち上げた。寿建設では、国道メンテナンスに導入し、現場状況を3Dデータ化して、発注者と情報共有する体制を構築した。
natと寿建設は、3Dスキャンアプリ「Scanat(スキャナット)」を土木/インフラ分野に適用した新ブランド「Scanat-D(DOBOKU)」を2025年7月24日に発表し、専用サイトを開設した。
土木への応用手法は、2024年6月に国土交通省「働き方改革の実現に向けた効率的な建設工事の促進事業」にも採択され、モデル事業として紹介されている。
Scanatは、iPadやiPhoneのLiDARセンサーで、現場を短時間で簡単に3Dデータ化してクラウドで共有するアプリ。現地での再確認や移動の手間を削減し、関係者がリアルな現場状況を共有しながら同時に画面上でミリ単位の計測もできるので、インフラメンテナンスの対応をより迅速かつ効果的に行える。
Scanatを土木に適用した寿建設は、30年以上にわたり、地元国道の通年維持管理やトンネル補修工事に携わる中で、現場での情報共有や計測/記録の煩雑さに課題意識を持っていた。建築分野で開発されたScanatと2023年に出会い、その可能性に着目。その後、natに連携を申し入れ、建設やインフラ保守への応用を本格的に進めた。
国道メンテナンスでの緊急時の対応(現地確認、計測、情報共有)と、従来は写真撮影と手書きで業務していたトンネル点検には大きな効果があると期待し、2023年から国道4号・福島国道維持補修工事に導入。現場状況を3Dデータ化して、発注者と情報共有する体制を構築した。
導入効果としては、従来は複数回必要だった現地確認や立会いが最小限となり、月あたり約21時間の作業時間を削減した。
さらに、舗装の部分的修繕(パッチング)の出来形管理への活用、作業前ミーティングでの作業箇所の見える化、3Dデータ上の曲線距離の計測機能でトンネルの簡易な点検手法の確立など、利活用の幅を広げている。
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