トプコンは、衛星測位システムの受信が厳しい環境でも、安定した高精度測位を実現したGNSS受信機「HiPer XR」を発売した。従来比で約1.5倍に通信距離を伸長して観測可能範囲を拡大した他、最大60度までの傾斜にも対応し、壁際などで傾けた測位が可能になる。
トプコンは2025年7月31日、マルチGNSSに対応した高い測位性能に加え、ポールの傾きを常に監視するTILT補正機能の強化、通信距離を大幅に伸長したアンテナ一体型GNSS受信機「HiPer XR」を発売した。
近年、米国のGPSに加え、ロシアのGLONASS、日本の準天頂衛星(QZSS)、中国のBeiDou、EUのGalileoなど、各国が独自に運用する衛星測位システム(GNSS)の整備が進み、信号帯域もL5をはじめとしたマルチバンド化が加速している。HiPer XRは、こうした多様な信号に対応し、都市部や山間部といった受信環境が厳しい場所でも、安定した高精度な測位を可能にする受信機。
トプコン独自のTILT(Topcon Integrated Leveling Technology)補正機能を強化し、最大60度まで傾けた状態の測定に対応。従来は観測が困難だった壁際や境界付近などのポールを垂直に立てられない場所でもスムーズに測定できる。
また、従来機比で約1.5倍に伸長された通信距離と、1ワット出力になったことで通信範囲が拡大。チャンネルは、これまでの30から82に大幅増加したデジタル簡易無線の搭載で、混信の多い工事現場で通信の安定性を確保した。
データ転送速度も向上し、GPS、GLONASS、QZSS、BeiDouなどの複数衛星から取得した高精度データをリアルタイムに送受信。グローバル対応の4Gセルラーモジュールを搭載し、別途SIMカードを用意することなく、携帯電話ネットワークを利用した通信ができる。充電の際は、汎用性の高いUSB Type-Cコネクターを採用しているため、短時間で完了する。
耐久性は、IP67に準拠した防塵/防水性能に加え、米国防省の調達基準「MIL-STD-810G 516.6」の定める落下衝撃試験をクリア。過酷な現場環境下でも安心して使える堅牢設計となっている。
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