「建設業の完成工事高は10年間で23.5%増も、就業者数は30万人減」2024年の建設市場と人材動向【独自分析】建設業の人材動向レポート(59)(2/2 ページ)

» 2025年07月10日 10時00分 公開
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■2024年の元請受注高は前年比7.7%増、建設市場は中期的にも堅調

 続いて元請受注高の推移を国土交通省の「建設受注動態調査」で分析すると、2023年は民間工事の受注が落ち込んだことから前年比3.3%減の72兆7293億円だったが、2024年は民間工事の受注が回復し、同7.7%増の78兆3567億円に達した(図表3)。受注高が大幅な増加に転じたため、中期的にも建設市場は堅調なのではないかと推測される。

図表3 元請受注高の推移 図表3 元請受注高の推移 出典:国土交通省「建設工事受注動態調査」よりヒューマンリソシアが作成

■建設業の就業者数は直近の10年間で30万人減少

 一方、建設業の就業者数は、10年間で大幅に減少している。総務省の「労働力調査」によると、建設業の就業者数は2014年の507万人から2024年には477万人となり、10年間で30万人も減少している(図表4)。

 2014年の建設業就業者と完成工事高を100として指数化すると、2014年には完成工事高は123.5(23.5%増)なのに、建設業就業者数は94.1(5.9%減)で、建設市場の拡大に就業者数が追い付いていない。生産性向上が進んでいるとしてもなお、人材確保は今後の建設市場の成長で、喫緊の課題だといえるだろう(図表5)。

図表4 建設業就業者数の推移 図表4 建設業就業者数の推移 出典:総務省「労働力調査」よりヒューマンリソシアが作成
図表5 建設業就業者数と完成工事高の2014年を100とした指数化 図表5 建設業就業者数と完成工事高の2014年を100とした指数化 出典:国土交通省「建設総合統計」、総務省「労働力調査」よりヒューマンリソシアが作成

■建設技術者と技能工の有効求人倍率は高止まり

 厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」で、建設現場を支える建設技術者と建設技能工の有効求人倍率は、2024年の建設技術者は5.57倍、建設技能工は5.12倍という非常に高い倍率で高止まりしており、人材の新規採用が困難な状況にある(図表6)。採用難は厳しい状況が続き、近々の改善見通しは立ちづらいことから、人手不足が建設市場成長の足かせにならないように、将来を見据えた採用や定着への人材戦略を立てることが重要になる。

図表6 建設技術者と建設技能工の有効求人倍率の推移 図表6 建設技術者と建設技能工の有効求人倍率の推移 出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」よりヒューマンリソシアが作成

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ヒューマンリソシア

ヒューマンリソシアでは、建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析に関する独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信も行っている。

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