続いて元請受注高の推移を国土交通省の「建設受注動態調査」で分析すると、2023年は民間工事の受注が落ち込んだことから前年比3.3%減の72兆7293億円だったが、2024年は民間工事の受注が回復し、同7.7%増の78兆3567億円に達した(図表3)。受注高が大幅な増加に転じたため、中期的にも建設市場は堅調なのではないかと推測される。
一方、建設業の就業者数は、10年間で大幅に減少している。総務省の「労働力調査」によると、建設業の就業者数は2014年の507万人から2024年には477万人となり、10年間で30万人も減少している(図表4)。
2014年の建設業就業者と完成工事高を100として指数化すると、2014年には完成工事高は123.5(23.5%増)なのに、建設業就業者数は94.1(5.9%減)で、建設市場の拡大に就業者数が追い付いていない。生産性向上が進んでいるとしてもなお、人材確保は今後の建設市場の成長で、喫緊の課題だといえるだろう(図表5)。
厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」で、建設現場を支える建設技術者と建設技能工の有効求人倍率は、2024年の建設技術者は5.57倍、建設技能工は5.12倍という非常に高い倍率で高止まりしており、人材の新規採用が困難な状況にある(図表6)。採用難は厳しい状況が続き、近々の改善見通しは立ちづらいことから、人手不足が建設市場成長の足かせにならないように、将来を見据えた採用や定着への人材戦略を立てることが重要になる。
ヒューマンリソシア
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