本連載では、総合人材サービス会社で建設業向けの人材サービスを展開するヒューマンリソシアが、独自に調査した建設業における人材動向を定期レポートとしてお届けする。建設業従事者の人材動向に関する実態を解明し、建設業各社の採用・定着に向けた戦略を考えるうえで少しでもお役に立てれば幸いである。今回は、建設業界で2010年に比べ2020年には倍近く増加した女性の技術者ついて、その理由と実態を調査した。
総務省の「国勢調査」で建設技術者(建築技術者+土木/測量技術者)の男女別就業者数をみると、女性建設技術者は2010年の約2万5000人から2020年には約4万6000人に増加し、女性比率も5.4%から9.0%に上昇している。そこで今回は、建設技術者として活躍する女性について各種統計をもとに分析する。
■本レポートの要旨
・女性建設技術者の比率が5.4%から9.0%に上昇、特に若手女性の増加が顕著
・要因の一つは、新卒で建設技術者として就職する女性の増加、大学新卒の建設技術者に占める女性比率も2023年には25.0%に上昇
・男女間賃金格差や育児のための短時間勤務制度など、女性が長く活躍できる環境整備が求められる
「国勢調査」の結果から建設技術者数の男女別の推移をみると、女性建設技術者は2010年の2万4700人から2020年には4万5710人となった。10年間の増加率は85.1%と大幅増で、建設技術者に占める女性比率も5.4%から9.0%に上昇している(図表1)。
男性建設技術者も2010年の43万3810人から2020年には46万720人に増えているが、増加率は6.2%にとどまっているため、女性建設技術者の増加がより顕著だと分かる。
女性比率の年齢階級別では、特に20代の女性比率が高まっており、20〜24歳における女性比率は2010年の15.0%から2020年には23.5%、25歳〜29歳では同14.9%から18.7%となった(図表2)。
このように、若手の女性建設技術者の比率が上昇している要因は、新卒で建設技術者として就職する女性が増加していることが挙げられる。
文部科学省の「学校基本調査」では、大学新卒で建設技術者として就職する人のうち、女性の人数は2013年の1443人から2023年には3375人となり、10年間で約2.3倍となった。
建設技術者の新卒就職者に占める女性比率も16.2%から25.0%に高まっており、建設技術者への新卒就職者の4人に1人が女性となっている(図表3)。建設技術者の厳しい人手不足が続き、建設業各社が必要な人材を確保するために女性建設技術者の新卒採用に積極的に取り組んでいることがうかがえる。
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