ニュウジアは、建築設計の常識を根底から変えると銘打ち、AIでCADの設計業務に省力化をもたらす「AI建築設計ドロー」をリリースした。基本設計案を最短5分で生成し、日本の建築基準法や消防法、条例にも準拠している。設計時間を最大9割削減し、中国をはじめグローバルで150社以上が導入している。
AIで動くキャラクターやAIのアパレル試着、AIコールセンターなどを提供するニュウジアは2025年5月7日、建築設計業界に革命をもたらす最先端AI設計支援ソフトウェア「AI建築設計ドロー」発売した。
ニュウジアは、これまで国内で登場したAI設計支援ソフトの多くは、補助的な機能にとどまり、設計プロセスの本質的な変革には至っていないとする。そこで開発したAI建築設計ドローは、意匠・構造・設備を統合的に考慮しながら、建築設計の主要部分をAIが自動生成するクラウド型設計支援プラットフォーム。日本市場向けに特別ローカライズし、ユーザーインタフェースや出力図面も全て日本語化している。建物用途は、住宅だけでなく、オフィスや商業施設、公共施設などにも対応する。
AI建築設計ドローは従来、数日〜数週間かかっていた基本設計案の生成を最短5分でAIが自動作成。dwgなどのベースとなるデータを読み込み、敷地面積や建築用途などを設置すると、条件を加味した3Dモデルを生成する。平面図、立面図、断面図に加え、給排水、電気、照明、暖房などのMEP(設備)図面が出力可能で、生成データはAutoCADやCATIA、Revit、IFCと互換性がある。
建築基準法、消防法、各自治体の条例など複雑な法規条件もAIが事前に織り込み、敷地を最大限に生かしたプランをAIが自動生成。具体的には、用途地域、建ぺい率、容積率、日影規制、避難経路、採光/通風、車両動線など、通常であれば多部門での協議が必要な要素をAIが包括的に解析するため、確認申請前の手戻りが激減し、ヒューマンエラーを未然に防げる。また、施工段階での設計変更でも、AIチェックで施工時の図面修正を最大80%削減する。
AutoCADやRevitとの違いについては、AI活用とクラウドベースの協業体制を挙げる。AIによるレイアウトや法規チェック、数量計算の自動化に加え、クラウド上では最大30人までの複数設計者がリアルタイムに同時編集できる。
インタフェースは、あくまで「設計の主役は人間」という思想のもと、建築士の思考プロセスに沿って設計。AIが設計を主導する一方、人間側の意図変更も自在に反映できる。
セキュリティ面では、オンプレミスにも対応する他、クラウドであれば日本国内のデータセンターで国内法規制に完全準拠した体制を構築している。エンドツーエンドの強固な暗号化と24時間監視体制で、大手建設会社や自治体の厳しいセキュリティ基準もクリアし、横浜の鋼構造建築企業でも導入実績があるという。顧客のデータは他社案件や学習用途に利用されることなく、アクセス権限も厳格に管理されている。
これまでの導入事例では、約40万平方メートルの大型商業施設設計で、80以上の階段詳細図を設計者3人が2日で完成。設計ミスによる手戻りが従来の約10分の1に減少した。
清華大学 建築設計研究院との共同プロジェクトでは、大学体育館の複雑な構造設計をAIが支援し、設計期間を3カ月から1カ月に短縮。意匠・構造・設備の整合性チェックで、施工段階での変更を80%減らした。
ニュウジアは今後、構造・設備との連携、BIMデータ(Revitなど)へのエクスポート、VR空間との連携によるプレゼン強化などを見据える。プランとしては、中小建設事業者向けライト版の提供も予定している。
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