清水建設は、半乾式耐火被覆の吹き付け作業を半自動化するロボット「Robo-SprayII」を開発した。ロボット1台でコンスタントに1日約150平方メートルの吹き付けが可能で、生産性がプロトタイプの約2.5倍に向上した。
清水建設は2025年4月18日、半乾式耐火被覆の吹き付け作業を半自動化するロボット「Robo-SprayII」を開発したと発表した。試作機から機能を強化し、生産性を試作機比で約2.5倍、手作業比で約3倍に高めたという。
清水建設が開発したRobo-SprayIIは、6軸ロボットアームとリフター、台車から成る耐火被覆吹付ロボットだ。ロボットによる作業は、作業位置への横移動、センシングと位置合わせ、ロボット固定用のアウトリガー張り出し、被覆吹き付け、アウトリガーの折り畳みの順で行う。操作はタッチパネルで梁(はり)形状を選択し、画面の作業ボタンを順に押すだけで完結する。
センシングでは、アームの先端のレーザー距離計で床からの鉄骨梁下端の高さとウエブ面(h型鋼中央の板)、ロボットの相対的な位置関係を認識。ウエブ面3点の3D座標を求めて面として捉え、ロボットの位置を鉄骨梁に正対するように合わせる。
プロトタイプのRobo-Sprayにはなかった自動走行機能やセンシング結果に基づく自動位置補正機能が追加されたことで、タッチパネルによる簡易な操作で一連の吹付け作業が行えるようになった。材料吐出量は、人手による作業の1.5倍に増量した。
都内の大規模病院現場での実証施工では、作業員3人1組でロボット1台を操作し、1日当たり約150平方メートルへの吹き付けを実現。生産性はプロトタイプの約2.5倍に向上したさらに、3人1組でロボット2台を同時運用すると、従来の手作業による出来高(約100平方メートル/日)に対し、生産性が約3倍に向上することが確認された。
Robo-SprayIIの活用により、ロボットと耐火被覆供給プラントの連動による吹付け作業の安定化、スリーブ(設備配管貫通孔)を回避する吹付け作業による材料の無駄や清掃作業の削減なども期待できるとしている。
Robo-SprayIIのサイズは2200(全長)×1120(全幅、アウトリガー収納時)×2025(全高、最小時)ミリ、重さは1900キロ。最高吹き付け高さは床面から4.5メートル、吹き付け範囲は大梁3.4メートル、小梁2.8メートル。電源はAC200Vの充電式で、移動は電動リモコン操作。
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