木材は約70%が国産のスギとヒノキ、残り30%が欧州赤松(ヨーロピアンレッドスプルース)で構成されている。藤本氏は「今後、万博をきっかけに国内林業が活性化し、将来は100%国産材による建築が実現することを期待している」と話した。
また、リングの外縁は意図的に持ち上げられ、空を切り取るようなデザインが施されている。空を見上げる来場者に「ひとつの空を共有する感覚」を与え、多様性の中の一体感を体験させる狙いがある。2階のエリアでは、芝生に寝転びながら瀬戸内の海に沈む夕日を楽しめるようにも設計されており、訪問者にとって多層的な体験の場となっている。
藤本氏は「中央には“静けさの森”と呼ばれるリアルな森を設け、自然と共生する未来の社会像を体現した」と話し、建築物としての大屋根リングが、自然の循環と建築の未来をつなぐ存在と解説した。
会場の印象について「百聞は一見に如かず。実物を体験することの価値を改めて実感した」と藤本氏。プロジェクト発足当初はコロナ禍で「リアルに集う意味」が問われていたが、今だからこそリアルな場の力が必要との考えが、今回の設計に反映されたという。
「可能であれば、このリングを万博後も残してほしい」との声も一部で挙がっている。藤本氏も「2025年を象徴する建築として後世に伝える価値がある」とし、継承していく可能性にも言及した。
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