竹中工務店は、大阪・関西万博の「大地の広場」に、生分解性樹脂を用いた3Dプリント建築「森になる建築」を完成させた。
竹中工務店は2025年4月8日、大阪・関西万博「大地の広場」で建設を進めていた生分解性の3Dプリント建築「森になる建築」が完成したと発表した。
建物は4.65(直径)×2.95(高さ)メートルの2棟構成で、竹中工務店が設計・施工を手掛けた。2024年8月に着工し、2025年3月27日に完成。万博会期中(2025年4月13日〜10月13日)、来場者向けの休憩施設として提供する。
構造体は、ダイセルが開発した酢酸セルロース樹脂「CAFBLO(キャフブロ)」を採用し、3Dプリンタを使用して現地で出力した。CAFBLOは植物由来のセルロースと自然界に存在する酢酸を原料とする生分解性素材で、木や綿花などの非可食性植物由来素材を主原料とする。
外装には、市民参加型ワークショップで制作した植物の種子をすき込んだ和紙「シーズペーパー」と、伝統工芸の職人や福祉施設で作った和紙を採用。建物の使用後は建築物自体が土に還り、和紙に含まれる種子から植物が芽吹くことで、「森」へと変化する。植物の種は、万博終了後に建築物を移設する兵庫県川西市の竹中工務店研修所内「清和台の森」で採取した。
森になる建築は、竹中工務店の社内コンペで最優秀賞を受けたアイデアを基に開発した。強度試験などを経て、建築基準法第85条第7項に基づく建築確認申請の確認済証を2024年7月に、検査済証を2025年2月に取得。国内初となる「酢酸セルロース造」の建築が実現した。
素材提供のダイセルをはじめ、3Dプリント機材を提供したエス.ラボ、部品開発のニフコ、植栽技術提供の阪神園芸、再生パルプ提供の大和板紙、仕上材開発と植栽指導を担った兵庫県立人と自然の博物館など、異分野の専門企業や団体が連携して技術開発を行った。
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