大阪・関西万博の会場敷地内「大地の広場」で、竹中工務店が建築を進めてきた生分解性の3Dプリント建築「森になる建築」の構造体が完成した。2025年4月の完成を目指し、外装工事や緑化工事を進める。
竹中工務店は2024年11月20日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の会場敷地内「大地の広場」で建築を進めてきた生分解性の3Dプリント建築「森になる建築」の構造体が完成したと発表した。
今後は、伝統工芸の職人の手による和紙に加え、ワークショップで作る植物の種をすきこんだ和紙「シーズペーパー」と福祉施設で作る和紙を組み合わせて構造体に貼る外装工事や、緑化工事を進める。2025年4月の完成を目指す。
森になる建築は、2025年4月13日から10月13日の大阪・関西万博会期中に来場者が休憩などに利用する、最先端技術と手造りを融合させた仮設建築物だ。酢酸セルロース造、直径4.65メートル、高さ2.95メートルの建築物2棟を提供する。主要仕上げ材は、外装は紙と植物の種子/苗、内装は酢酸セルロース表し、床は三和土。2024年8月に大地の広場で着工した。
森になる建築は、竹中工務店のグループ従業員を対象に、2020年から2021年にかけて実施した大阪・関西万博パビリオンに関するアイデア提案コンペで「Seeds Paper Pavilion(シーズペーパーパビリオン)」として最優秀賞に選定された。使い終わると廃棄物になる建築ではなく、複数の手によって作り上げる建築物が種となり、使用後は森になるという「未来の建築」を描いたもの。
2023年5月から、千葉県印西市の竹中技術研究所で大型3Dプリンタでの試験を開始し、2024年4月に実物サイズの出力試験に成功した。大阪・関西万博では、Seeds Paper Pavilionを「森になる建築」と名付け、会場内に提供する。
なお、3Dプリントや外装の植栽などの技術は、専門企業と協業して技術開発を進めている。
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