熊谷組は、コッター床版工法向けの品質管理システム「KIS-C」の外部提供を開始する。KIS-Cは橋梁7現場で導入され、現場管理業務を50%削減した実績がある。
熊谷組は2024年12月25日、ファテックを通じて、コッター床版工法向けの品質管理システム「KIS-C(Knowledge Information System for Cotter Slab)」の外部提供を開始すると発表した。KIS-Cは既に橋梁(きょうりょう)7現場で導入し、現場管理業務を50%削減した実績がある。
コッター床版工法は、プレキャスト床版をコッター式継手(機械式継手)で接合する技術で、施工の迅速化や省人化、高品質化、メンテナンス性向上などを実現する。継手は床版側面に埋め込むC型金物と、これをつなぎ合わせるH型金物で構成。これらを組み合わせてボルトで締結し、専用の目地材を充てんして床版同士を接合する。現場の品質管理の1つとして、ボルト締結時の締付トルク値を管理している。
コッター床版工法は部材点数が多いため管理が煩雑になるという課題があり、熊谷組は2022年、デジタル技術を活用した新たな管理手法としてKIS-Cを開発。品質管理情報をクラウド上で一元管理し、部材製造工場と施工現場間でリアルタイムに共有することで、施工全体の最適化を図った。また、製造番号と品質管理情報をひもづけることで、製造品質の信頼性向上や業務効率化、施工の品質/生産性の向上につなげる。
KIS-Cの基本機能には、トルク値を自動転送する現場アプリ、床版/継手ごとの現場計測情報を一覧で参照できる「トレーサビリティー管理」、締付けトルク調書の出力やトルク値が基準値外となった継手位置の確認が可能な「継手締付けトルク調書」などがある。また、トレーサビリティー管理の機能は、発注者や維持管理業者などを含むさまざまな関係者に共有が可能だ。
参考価格は、初期導入費が30万円から、システム利用費は1カ月当たり5万円から、資機材レンタル費は1カ月当たり10万円から。熊谷組は今後、部材の流れを容易に管理できる機能や、品質情報を自動的に集約して報告書を作成する機能の開発を計画している。
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