模擬橋梁での実証では、8トンのトラックと普通車、渋滞などを想定した時速10キロと時速40キロの速度、2タイプの舗装で、それぞれ条件を変えて弾性波のデータを取得した。速度に関しては、既に実橋梁で時速80キロなどの高速走行時のデータがあるため、渋滞時などの低速走行時など補完する形となった。
結果、取得データをもとに条件に応じて補正すべき係数を導き出したことで、異なる状況での計測でも統一した基準で評価可能になった。補正する元となるデータは、AEセンサーで走行速度は分かり、高速などに既設のトラフィックカウンターで台数や種別は判別可能なため、それぞれの補正を掛けて適正な健全度とする。
補正係数を考慮した健全度評価の流れとしては、計測データを取得し、弾性波の密度を点/平方メートルで求め、対象エリア内での分布を算出。車両重量や交通量の多い少ないが弾性波を増減させるため、その分を補正して健全度マップを生成する。
東芝では橋梁床版内部の健全度評価技術が、橋梁点検の国内標準化となるべく既に動いており、2022年には日本非破壊検査協会で規格「NDIS 2434」が策定されている。次の段階としてJIS(日本産業規格)発行も視野に入れている。さらに国土交通省が2023年度に公募した「点検支援技術性能カタログ」にも応募し、2024年4月に技術カタログで紹介されている。
今後は、東芝プラントシステムとともに、2024年度中のサービス開始を目指す。また、現段階では点検の都度にIoTセンサーを取り付けて計測する手間があるが、自社で開発するセンサーが将来安価になれば取り付けっぱななしにする常時モニタリングも見据えている。さらに高速道路の橋梁に限らず、ビルの床スラブやダムなど多様なコンクリ構造物にも使えるため、点検対象を変えて実証も重ねていくという。
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