清水建設は、高速道路高架橋の支承交換工事で、既設の支承取り出しから新設する支承設置までを担う専用装置を開発した。重量約1〜2トンの支承を把持して水平移動できるため、狭あいな橋桁下でも効率的かつ作業員が無理な姿勢を強いられずに作業を進められる。
清水建設は2024年10月2日、高速道路高架橋の支承交換工事において、既設の支承の取り出しから新設する支承の設置までを担う専用装置を開発したと発表した。
装置は、フレーム状の支承把持機構を備えた移動台車、支承を借り受けする回転台、台車用の走行レールなどで構成。移動台車は、把持した支承の昇降機構や設置角度の微調整機構を搭載している。
近年、高度経済成長期に集中的に建設された高速道路が更新期を迎え、大規模更新工事のニーズが高まっている。橋梁(きょうりょう)の上部構造を支持する支承部には長期使用による経年劣化が生じており、支持機能回復や耐震性向上を目的として更新工事の需要が高まっている。 支承交換工事は一般に、支承上部の橋桁をジャッキアップして橋桁の荷重を支保材に受け替えた後、狭あいな空間内で支承の除却作業、新設支承の設置作業を行う。支承の取り出し、据え付けはチェーンブロックやレバーホイストなどを用いるが、狭あい空間での作業は難度が高く、挟まれ事故や接触災害のリスクがある。
清水建設が開発した専用装置は、既設の支承を取り出す際、台車のフレームで支承を挟み込んで持ち上げ、レール上を水平移動させて回転台へ仮置きし、橋脚上から搬出する。新設支承を設置する際は逆の手順となる。
装置に用いる部材はいずれも重量20キロ以下で、ラチェットレンチのみで操作可能なため、狭あいな橋桁下で運搬にかかる負担が低減し、安全性も向上する。
新設する支承の設置作業で実証したところ、約45%の作業時間短縮効果や約60%の省人化効果を確認した。1つの支承を設置する際は従来工法では5人の作業員、4時間半の作業時間を要していたが、同装置により2人の作業員、約2時間半の作業で設置が完了した。
清水建設は今後、レール設置面の不陸や勾配に対する水平移動機能の強化を図り、橋梁の大規模更新工事への適用を目指す。
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