富士フイルムの「ひびみっけ」は、橋梁やダムなどコンクリート構造物の表面のひびを写真画像からAIが検出するソリューションだ。2018年にスタートし、年々ユーザー数は確実に増え、現在は約1500の企業が導入している。新たにひびみっけに特化した1億200万画像の「FUJIFILM GFX100」の格安レンタルサービスを開始した。
富士フイルムは「メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2024」(会期:2024年7月24〜26日、東京ビッグサイト)で、構造物の写真画像から“ひび”を効率的に見つけるソリューション「ひびみっけ」を展示した。撮影に1億200万画素のカメラの「FUJIFILM GFX100(以下、GFX100)」を使うことで、従来比の約4倍の面積で一度にひびの検出ができる。
ひびみっけは、橋梁やトンネルなどのコンクリート構造物に求められる近接目視点検を効率化するソリューション。ひびみっけでコンクリート表面を写真撮影すると、画像からAIが自動的にひびを検出する。ドローンを使って撮影すれば、目視点検時の足場も必要なくなり、手軽にひびが検出できるため、省人化やスピードアップにつながる。
構造物のひびを検出するには3Dスキャナーを使う方法もあるが、点群データを基にするため、写真に比べて解像度で劣る。微細なひびを高速で見つけるには写真が向いているという。
これまで300平方メートルの橋梁点検では、現場作業とその後の処理で14.5時間かかっていた。ひびみっけを使うことで5.5時間で完了し、9時間もの時間削減が可能となったとの実験データもある。この数字はあくまでベストエフォートでのデータだが、実現場の導入事例でも現場作業が60%軽減した例もある。時短だけでなくコスト換算では約30%のカットにもなる。
富士フイルムが今展でアピールしたのは、ひびみっけをさらに高度化かつ効率化するカメラの存在だ。
ひびみっけで、ひびを見つけるときに重要になるのが写真の解像度だ。仮に、カメラが2400万画素だと、0.1ミリのひびを発見するには、縦1.2メートル×横1.8メートルの撮影範囲に収めなくてはならない。現場ではオーバーラップ部分を含め、この範囲で対象物の撮影を繰り返すことになる。
撮影範囲を従来の約4倍の面積にするカメラのGFX100は、1億200万画素の撮影能力を有する。ひびみっけで使う場合も、縦2.6メートル×横2.6メートルの範囲を1度で撮影できるため、撮影時間の大幅な短縮につながる。
ひびみっけの撮影では、確実に画像合成を行うために30%のオーバーラップ撮影を推奨している。そのため、1度に従来比で約4倍の面積を撮影するGFX100は、従来の撮影に対して4倍以上の撮影効率が実現する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.