防水や塗装、補修の工事では、その前段階で入念な調査が必要となる。2014年からドローン点検に取り組んできた三信建材工業が提供する「3次元点検台帳」は、ドローンで取得した画像データをもとに3次元の点群モデルを構築し、各種点検情報をひもづけることで、従来の点検管理の問題だった非効率が解消される。
三信建材工業 開発室 水野健吾氏は、「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2024」(会期:2024年7月24〜26日、東京ビッグサイト)の出展者セミナーで「3次元点検台帳を活用したインフラ維持管理業務の高度化について〜3次元点検台帳のご紹介、点検事業に関する協業のご提案〜」と題して講演した。
三信建材工業は、愛知県の豊橋市に本社を置き、建物の防水工事や塗装、補修工事を手掛ける会社。愛知県岡崎市と静岡県浜松市にも支社があり、東三河地域を活動の中心としている。設立は1963年。愛知県下の建設業としては唯一、経済産業省の「地域未来牽引企業」にも選定されている。
三信建材工業が提案する3次元の点検台帳は、現場でドローン取得した画像をSfMソフトウェアを介して補正して3次元点群データ化し、3次元の点群モデル上で各種情報を管理する。これまでは、壁面の亀裂や剥離といった不具合箇所の管理には、手書きのメモや写真を使うのが一般的。現場で野帳へメモ/スケッチした情報や撮影した写真を事務所に戻ってからCADの図面上に落とし込み、写真とともにファイル化していた。
しかし、こうした方法では物件全体の状況を把握しにくい。また、現場作業やデータの整理や管理に膨大な手間がかかってしまう。点検台帳を3次元化する手法は、膨大な労力を必要としていた従来の管理法を効率化できる。
ドローンに搭載したカメラによる点検が普及しつつある昨今、現場状況を位置情報を備えた3次元の点群モデル化して管理する手法も注目を集めている。
三信建材工業がドローンを使った点検技術の開発に着手したのは、本社に「開発室」を設置した2014年。以降、ドローンやポールカメラ(伸縮自在のポールにカメラを取り付けて高所の撮影を行う)を使って現場での点検業務を効率化する手法を探ってきた。ドローンによる点検技術に関しては、ドローンメーカーと協力して機体開発にも参加している。ドローンでは難しい外壁点検ロボット「NOBORIN(ノボリン)」も、豊橋技術科学大学 機械工学専攻 ロボティクス・メカトロニクス研究室の佐野滋則氏と開発している。
三信建材工業は、各種の防水工事や塗装に関する工事を得意とする会社で、現在は港湾や河川の施設、水管橋の点検などにも業務対象を広げている。水野氏は、橋梁点検に関する新技術としてドローンを活用し、データ解析や管理に3次元点検台帳を使うまでの手順を紹介した。
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