工程管理のデジタル化を起点に、施工管理業務を革新 NTT Comが目指す「施工管理業務DX」の姿建設業界の新3Kを支援するソリューション(1/3 ページ)

NTTコミュニケーションズは2024年7月から、クラウド型デジタル工程アプリ「GaNett」の提供を開始した。これに先立ち、2024年5月には、建設DX関連サービスを「tateras」として体系化し、建設現場のDXを総合的に支援していく方針を打ち出した。そのねらいや、今後の展開について、NTT Comの担当者に聞いた。

» 2024年08月09日 15時00分 公開
[黒岩裕子BUILT]

 建設業は就業人口の減少や高齢化などによる働き手不足に加え、2024年4月から適用された時間外労働の上限規制など多くの課題に直面している。業界全体の生産性向上が急務とされる中、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、大手ゼネコンの竹中工務店、清水建設との3社協業でクラウド型デジタル工程アプリ「GaNett(ガネット)」を開発。2024年7月から提供を開始した。

大手ゼネコン2社と協業、施工管理業務の革新を目指す

NTT Comが提供する建設現場ソリューション全体像 NTT Comが提供する建設現場ソリューション全体像 提供:NTTコミュニケーションズ

 GaNettの製品化では、竹中工務店と清水建設が建設現場のプロセスに関する知見やノウハウを提供し、NTT Comがアジャイル型で両社のニーズを反映した機能を開発する役割を担った。施工管理の根幹ともいえる工程管理業務のDXにより、業界全体の施工管理プロセスの革新を目指していく。

NTT Comビジネスソリューション本部 スマートワールドビジネス部 スマートワークサイト推進室 担当課長の中島厚生氏 NTT Comビジネスソリューション本部 スマートワールドビジネス部 スマートワークサイト推進室 担当課長 中島厚生氏 撮影:石原忍

 NTT Comビジネスソリューション本部 スマートワールドビジネス部 スマートワークサイト推進室 担当課長 中島厚生氏は、「建設には『図面』と『工程』という2つの重要な要素がある。図面に関してはBIMによるデジタル化が進んでいる一方、工程管理はまだアナログな業務が多く残っている。まずは工程表のデジタル化から着手して、最終的には施工管理業務のDXにつなげる」と語る。

 3社が目指す施工管理業務のDXとは、工程表から作業日報までの施工管理に関するデータを、実用的にデータ連携できる状態を指す。「例えば工程表に『コンクリート打設』の作業計画があった場合、実際の現場ではコンクリートを流し込んだり、均(なら)したりといった複数の工程が発生し、専門工事業者数社が現場に入ってそれぞれの作業を行う。作業日報は協力会社ごとに作成されるため、計画上の作業情報と、日報で報告される実績データには情報粒度の差が生じる。この課題に対し、GaNettを起点として、計画データと実績データの粒度を調整して構造化し、連携させていく。これにより施工管理業務全体の効率化や自動化を実現し、建設業全体の生産性向上を実現させていくことがねらいだ」(中島氏)。

3社が目指す施工管理業務のDX 3社が目指す施工管理業務のDX 提供:NTTコミュニケーションズ
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