大成建設とソラコムは、施工管理業務を効率化するWebカメラシステム「BuildEYE」を開発した。建設現場内に設置した数十〜数百台規模の高性能Wi-Fiカメラの映像情報を基に、工事計画の進捗や安全、品質などを遠隔から管理できる。
大成建設とソラコムは2024年7月17日、建設現場内に設置した数十〜数百台規模の高性能Wi-Fiカメラの映像情報を基に、工事計画の進捗や安全、品質などを遠隔から管理し、施工管理業務を効率化するWebカメラシステム「BuildEYE(ビルドアイ)」を開発したと発表した。
新システムは、ソラコムのクラウド型カメラサービス「ソラカメ」と、大成建設のデジタル情報標準基盤「T-BasisX」との連携を可能にするユーザーインターフェース(UI)を開発して実用化した。ソラカメに対応するアトムテック製のWi-Fiカメラ「ATOM Cam Swing」を建設現場のさまざまな場所に設置し、T-BasisXで構築したWi-Fi環境を活用して撮影した映像をクラウド上に保管して管理する。管理者や作業者は、時間や場所を選ばずに録画映像の閲覧や管理ができる。
大成建設は新システムを、生産プロセスのDXに向けた建設現場情報収集システム「T-SearchX」の主力ツールになると位置づけている。
BuildEYEは、T-BasisXによる広範囲で安定したメッシュWi-Fi環境と、ソラカメの既存サービスを活用することで、Webカメラシステムの開発にかかる費用や期間、運用コストを低減する。
ソラカメのスマホアプリやWebコンソールは従来、複数台のカメラを対象とした汎用的な使用を想定しており、数十〜数百台規模のカメラの使用や、施工管理業務に対応する仕様ではなかった。そこで新システムの開発にあたっては、ソラカメに標準搭載されたアプリケーション同士を連携させる機能に着目し、大成建設の既存システムと連携できるUIを独自開発した。管理画面から、プロジェクトごとに、個別カメラの映像や複数のカメラ情報を遠隔で一元的に把握できるようになった。カメラの動きは遠隔から制御可能で、設置場所全体を見渡せる。
BuildEYEには、長期間の録画映像の保存や建設現場での使い勝手を考慮した検索機能、音/動的検知機能などを標準装備した。また、複数の現場での利用を想定し、本社や支店、現場管理者、各フロア施工管理担当者など、ユーザーの役割やニーズに応じて、対象カメラの切り替えなどを含め、簡単に管理できる。
今後は新システムの建設現場での運用、普及に向けて、機能改善や拡張のための改良、開発を継続する。さらに、建設現場で蓄積したデータの活用や、AI、自社の既存管理システム、各種センサーとの連携などの応用展開を進めていく。
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