大成建設は、複数人が同時に参加し会話しながら災害体験できるメタバースシステム「T-Meta JINRYU」を開発した。メタバース空間では、群集の動きを想定し、最適な避難計画や効果的な災害対策の検証ができる。
大成建設は2024年2月5日、災害体験メタバースシステム「T-Meta JINRYU(ティーメタ ジンリュウ)」を発表した。3次元仮想空間内で複数人が同時に参加し、避難行動などをリアルに体験できる。シミュレーション結果に基づく最適な避難計画や効果的な災害対策の検証だけでなく、平時の施設計画の検討にも役立つ。
T-Meta JINRYUは、災害発生時の施設内をモデリングしたBIMモデルをもとに、メタバース空間に再現し、災害時の人流や炎/煙の拡散などを仮想体験できる防災ソリューションだ。
従来のようにVRデバイスを装着した個人に限定された災害体験ではなく、複数人がVRデバイスを介して同時に参加し、相互にコミュニケーションをとりながら、災害時の役割分担を確認できる。被害状況の把握や報告、避難誘導など、組織体制の在り方も含む実践的な防災訓練が可能になるため、避難計画や災害対策の効果などの検証に使える。
また、車椅子利用者やその介助者をメタバース空間に組み込み、災害時の車椅子利用者や介助者の避難行動を仮想体験することで、施設内のさまざまな利用者が安全かつ迅速に移動できる避難計画案もシミュレーションできる。
T-Meta JINRYUでは、大成建設開発の人流シミュレーションとの連携で、災害時だけでなく、平時の人流を想定した施設計画の立案にも役立つ。建物内の什器やエレベーター、階段などの配置や施設の広がり、人流などを設計段階からメタバース空間で検証できるため、直感的な判断も加えた効率的な事前検討が可能になるという。
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