大成建設は、メッシュWi-Fiと、従業員や資機材の情報を取得する「IoT活用見える化システム」を一体化し、建設生産プロセスのあらゆる情報を一元的に見える化するための基盤「T-BasisX」を構築した。
大成建設は2021年4月20日、インフォキューブLAFLA、PicoCELA、西尾レントオールの協力を得て、現場内でインターネット環境を網羅的にカバーするメッシュWi-Fiと従業員の作業状況を把握する「IoT活用見える化システム」を一体化し、建築現場でのDXの標準基盤となる「T-BasisX」を構築したと発表した。T-BasisXにより、着工から竣工までの現場内での各種データを収集・分析することが可能となる。
これまで建築現場では、地下階や高層階など、携帯電波の届かない場所ではインターネット利用が難しく、各階に配置された資機材などの位置を把握する際は、測位用受信機器の大量設置が必要だった。そのため、現場内で無線環境の整備を行うには、個々の現場状況に応じて多くの手間やコストが生じ、その結果、現場内での先進的な作業用ロボットの導入やAI・IoTを活用した現場管理を行う上で壁とされていた。
大成建設では、通信機能に優れたメッシュWi-Fiアクセスポイントと測位用受信機器を一体化させて利用することで、少数機器でのWi-Fi通信と高精度位置把握を可能にし、現場での無線環境整備の省力化とコスト削減を実現した。
また、現実空間の多様なデータをセンサーとネットワークを通じて仮想空間に収集し、データの分析や解析を行い、その結果を現実空間にフィードバックする「CPS(Cyber-Physical System)」の概念に基づき、現場無線環境と2018年に生産施設を対象に開発した「IoT活用見える化システム」を連携。さまざまな現場内データも収集・分析して一元化利用することが可能となり、現場の安全・品質管理や生産性向上につなげるとともに、顧客への報告や本支店の遠隔支援といった用途も見込まれている。
今後、大成建設では、建築現場の施工フェーズを対象に、T-BasisXを基盤として、ロボットやAI・IoT活用による建築生産プロセスのDXを推進し、生産性向上に取り組む。また、竣工後の維持管理フェーズでも、T-BasisXに組み込まれた各種システムなどを、BIMデータと建物管理・運用に関する各種データを紐(ひも)付け、統合管理するシステム「LifeCycleOS」と連携させ、顧客ニーズに応じた新たなソリューションを提供していくとしている。
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