建設技能工は、ベースラインケースに基づくと、人材不足数は大きく拡大し、2040年には53.3万人が不足すると予測(図表3)。成長実現ケースでは、不足数はさらに拡大し、2040年には87.4万人が足りなくなるとしている(図表4)。
いずれのケースでも、人材需給ギャップが拡大する結果となり、その要因は、就業者数が大きく減少すると試算されたことがある。また、技能工として就業する人数は、2015年の256.2万人から、2020年には244.7万人に減少。その後も減少傾向に歯止めがかからず、2040年には190.0万人と、2020年比で22.4%も減少する試算結果となった。
建設各社は、海外人材や若手入職者の積極採用などにも注力しているが、これまで以上に多方面から、建設技能工確保に向けた取り組みを強化していく必要がある。
今回の調査結果を受け、ヒューマンリソシア 人材紹介事業部 事業部長 高橋良久氏(※高ははしご高)は、建設技術者に関して、「中長期的に経済が低成長としたベースラインケースでは、徐々に人材が充足していく結果となったが、成長実現ケースでは2040年で4.7万人が不足する予想となった。しかしながら、昨今は建設各社が新卒採用を強化しており、新規での入職者が増えている。このことを踏まえると、生産年齢人口が減少していく中でも、現状の新卒採用数を維持する必要があるだけでなく、定着率の向上も重要で、人材充足への課題は大きい」とコメント。
建設技能工については、「将来の人材需給ギャップは大きく、早急な対策が必要であることが明らかとなった。また、技能工不足により、建設技術者への影響も危惧される。就労育成制度が新設されるなど海外人材活用の拡大が見込まれる中、来日就業している海外出身者の定着に向けた支援の充実、職人としての職業の魅力を若者に伝えるなどの担い手確保はもちろん、労働生産性向上など、多方面からの対策が急務だ」と指摘する。
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