住友林業は2025年5月の竣工を目指し、茨城県つくば市で、木造混構造6階建て社宅の建設を進めている。中央がRC造で両端が木造の「平面混構造」を採用した耐火建築物で、住友林業が設計・施工を手掛ける。
住友林業は2024年5月15日、茨城県つくば市で、木造混構造6階建ての社宅を着工した。中央がRC造で両端が木造の「平面混構造」を採用した耐火建築物で、住友林業が設計・施工する。竣工は2025年5月末を予定している。
建物の1階にはサテライトオフィスや店舗が入居し、2〜6階を社宅として使用する。総戸数は46戸(シングル用1Kが41戸、ファミリー用2DKが5戸)、敷地面積は2825.53平方メートル。木造部分の構造材は全て国産材を使用する計画だ。
住友林業は混構造に対応した構法や部材を開発すると同時に、建設する際と暮らす際ののCO2排出量削減にも取り組んでいる。今回の社宅建設で、技術の実証や環境配慮のノウハウをさらに蓄積し、マンションなどの中大規模建築の木造化/木質化を引き続き推進する。
今回、建設する社宅にはさまざまな独自開発技術を活用し、部材のコスト削減や作業の省力化で建築費を抑制する方針だ。
構造計画では、中央にRC造を配置することで水平力を全て集中させ、木造部分の負担を低減して木造の梁(はり)や柱をスリム化する。また、RC造部分には日建設計と共同開発した「合成梁構法」を採用し、木梁とRC床版の合成効果で剛性を高め、梁成の縮小とロングスパンを実現する。木造部分の躯体には、住友林業の木造耐火部材「木ぐるみCT(2時間耐火構造部材)」を使用。耐火被覆材には特注品ではなく一般流通品のCLTや不燃材を使う他、木造とRC造の接合部分にはカナイグループと共同開発した「混構造用接合金物」を採用し、木造の小梁とRC造の大梁や柱を接合する金物の規格化に取り組む。
さらに、建物の生涯にわたるCO2排出量(エンボディドカーボン)を可視化するソフトウェア「One Click LCA」を設計時から導入。木材使用量322立方メートル(構造材154.8立方メートル、仕上材167.2立方メートル)で、炭素固定量はCO2ベース267.239トンになると試算した。今後も継続的なモニタリングでCO2排出量を削減する。
建物に使用する部材についても、資源採取から廃棄までの製品の全ライフサイクルにわたるCO2排出量を見える化したISO準拠の環境認証ラベル「EPD」の取得を、部材/建材メーカーに働きかける。
暮らす際のCO2排出量削減については、75%以上のエネルギー削減を基準とする「Nearly ZEH-M」や、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)で最高位の「5つ星」、室内の快適性や外部への環境負荷なども含め建物の品質を総合的に評価するシステムで最上位等級の「CASBEE-S」を取得予定だ。
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