日本市場進出の第一弾は、前回2023年5月のCSPI-EXPOで発表した欧州で2019年から販売していた2.6〜2.8トンクラスのコンパクトサイズとなるバッテリー駆動油圧ショベル「ECR25 Electric」と、バッテリー駆動式ホイールローダー「L25 Electric」の2機種。これまでの約1年間で、それぞれ10台の導入実績がある。
ムラリダラン氏は日本の建機市場について、「安定して成長しているため、(電動化やハイブリッドなど含め)持続可能なソリューションでさらなる成長を促していきたい」と話す。ボルボ建設機械としても、国土交通省が2023年に新設したGX建機の認定制度で、ECR25 Electricが認定されたこともあり、これからEV建機の普及期に入ることにも期待を寄せている。
今展で披露したEC230 Electricは、日本向けEV建機の3機種目となる。油圧ショベルの中型機では、最も幅広い用途に応えるクラスで、日本での需要の中心機種になると見込む。排出ガスゼロで低騒音かつ低振動のため、屋内や騒音規制地域の作業にも適する他、同サイズのディーゼル機種「EC220EL」の掘削力と比べても同等の性能を有する。最大モーターパワーは160キロワット(kW)で、運転重量2万3800キロのパワーマンスを発揮する。搭載するリチウムイオンバッテリーの電圧は600ボルト、容量は264kWh(キロワット時)。駆動時間は約5時間で、他機種と同じように車載充電器、または90分ほどで完了する外部急速充電器の双方に対応する。
オペレーターの操作性では、マシンコントロールやマシンガイダンスのICT機能も搭載し、独自開発ゆえにセンサーメーカーを限定せずにICT施工用のアプリケーションを使える。運転席は、開口部の広いドアで出入りがしやすく、箱の部分にあたるキャブは油圧緩衝マウントで支持されているので、衝撃や振動を軽減するとともに、吸音材も使用して低騒音化を実現した。
屋外の会場では、EC230 ElectricやECR25 Electric、L25 Electricだけでなく、プロトタイプの電動コンパクト型ロードローラー「DD40 Electric」、12〜13トンのホイール式油圧ショベル「EWR130E」の計5機種を展示した。
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