竹中工務店は、CLTとコンクリートスラブを組み合わせた3種類の床工法を開発した。空間設計の自由度を高めるとともに、施工性の向上や工期短縮を実現する。
竹中工務店は2024年5月9日、木の付加価値向上技術「KiPLUS(キプラス)」シリーズの第3弾として、CLTを天井面に用いて温かみのある室内空間を創出する3つの床工法を開発したと発表した。新工法は「KiPLUS WALL(壁)」「KiPLUS TAIKA(柱、梁(はり))」に続くもので、床への適用により、建物を構成する主な要素である柱、梁、壁、床の全てがラインアップされた。
開発した床工法は、「KiPLUS DECK(デッキ)」「KiPLUS SPANCRETE(スパンクリート)」「KiPLUS SLAB(スラブ)」の3種類で、いずれの工法もCLTとコンクリートスラブの組み合わせから成る。スラブが持つ強度や耐久性などの構造性能をCLTが高めることで、梁の少ない空間づくりに加え、施工性の向上や工期短縮が期待される。
KiPLUS DECKは、デッキ合成スラブ下面にCLTを取り付けて補強し、デッキのスパンを最大25%まで延伸可能だ。従来工法と比べて、小梁やデッキ板厚などを削減でき、資材量を減らして環境負荷を低減する。施工もシンプルで、デッキとCLTの組み立ては現場で行える。
KiPLUS SPANCRETEは、プレキャストコンクリートスラブ「スパンクリート」の下面にCLTを接合する床システムだ。最大10メートルを超える大きなスパンを小梁なしで掛け渡すことができ、床の変形や振動を抑制する。現場での取り付けが困難な大型CLTも工場で取り付けられるため、大面積の木仕上げ天井を実現する。
KiPLUS SLABは、CLT上面に鉄筋を接合し、この鉄筋を型枠として、コンクリートを現場施工してスラブをつくる床システム。鉄筋が補強材の役割を果たし、スパンを大きくできるため、仮設を簡易化し、ローコスト化を実現する。コンクリート硬化後は、下面CLTが床の変形や振動を抑制し、また、CLTの板同士の間に天井設備を取り付けるためのレールを組み込むことで、テナント入替時にはCLTを傷つけずに設備や照明のレイアウトを変更できる。
3種類の床工法のうち、KiPLUS DECKは日鉄建材と、KiPLUS SPANCRETEはスパンクリートコーポレーションと共同開発した。
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