鹿島建設は、カーボンネガティブコンクリート専用の製造実証プラントの運用を開始した。多様な材料を用いたコンクリートの試験製造を積極的に実施し、CO2収支がマイナスになるコンクリートの社会実装を目指す。
鹿島建設は2024年4月19日、製造工程のCO2排出量を実質ゼロ以下に抑えるカーボンネガティブコンクリート専用の製造実証プラント「CUCO(クーコ)加西実証プラント」を建設し、運用を開始したと発表した。実証プラントの稼働により、CO2の排出量削減や固定/吸収に関するさまざまな材料で構成するコンクリートを、実規模で容易に試験製造できるようになった。
実証プラントでは、プレキャストコンクリート製品、レディーミクストコンクリートを問わず、多種多様なカーボンネガティブコンクリートの製造試験を行う。
実証プラントは、セイア、日工、北川鉄工所と共同で、兵庫県加西市にあるケイコン山陽工場内に整備した。プラントには、練混ぜ方式が異なる2台のミキサー(パドル式、連続羽根式)に加え、粉体用貯蔵ビンと混和剤用タンクをそれぞれ3つ配備した。また、その他の材料をミキサに投入しやすくする目的で、材料投入フロアには一般的なコンクリート製造プラントにはない材料保管場所を確保するなど、製造プロセスの効率化を図った
プラントには、コンクリートに効率的にCO2を吸収させるための検討を行う設備も設けた。温度や湿度、CO2濃度を制御できる炭酸化養生設備や、コンクリートの製造時のスラッジ水を高濃度かつCO2を固定したまま有効利用を検討する排水処理設備を整備した他、コンクリート材料の輸送/計量/練り混ぜ/炭酸化養生/排水処理の各段階での電力消費量を計測し、コンクリート製造時のCO2排出量を全量可視化するシステムを採用した。
なお、2024年1月からは、コンクリート製造時の消費電力を把握する取り組みを開始するとともに、低減策の検討を行っている。検証成果は一般的なコンクリート工場への応用も可能で、製造コストの抑制にもつながる。
鹿島建設は、デンカ、竹中工務店とともに、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」プロジェクトを実施するコンソーシアム「CUCO」の幹事会社を務める。CUCOでは、民間企業や大学、研究機関と連携し、カーボンネガティブコンクリートの開発を進めている。
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