2024年問題を目前に、建設DXによる業務効率化が急務となっている。だが、デジタルツールを導入してみたものの、使いこなせず成果を得られない中小企業は多い。建設業に特化したAI音声認識サービスを提供するアドバンスト・メディアに、建設現場でのデジタル活用の課題や解決につながる生成AIを活用した新サービスなどを聞いた。
建設業の生産性向上に向けて、DX推進による業務効率化が急務となっている。大手ゼネコンを中心にデジタル技術を活用した生産プロセスの最適化が進む一方で、IT化で効率化を図ろうとデジタルツールを導入してみたものの、有効に活用できていない企業も少なくない。
独自開発のAI音声認識「AmiVoice(アミボイス)」を提供するアドバンスト・メディアは、建設業を対象としたサービスとして、音声入力により建築の施工管理を効率化する「AmiVoice スーパーインスペクションプラットフォーム(SIP)」を展開している。同社の常務取締役執行役員 立松克己氏は、「AmiVoice SIPの営業活動を進める過程で、既に検査システムは導入しているものの、現場では使用されていなかった、というケースが散見された」と説明する。使われていない理由を尋ねると「検査担当者がタッチパネルで文字を入力する作業になじめず、『紙に書く方が速いから』と使用しなくなってしまうと聞いた」。
アドバンスト・メディアが展開するAmiVoice SIPは、建設業界特化型の音声認識技術を活用した、月額制の建築工程管理クラウドサービスだ。iOS端末で作動する「仕上げ検査」「配筋検査」「配筋写真管理」とストレージサービス、Web管理画面から成る。仕上げ検査向けには、手直し指示のための帳票(ダメ帳)を協力会社と共有する「ダメ帳連携サービス」も提供する。
「当社のサービスの一番の強みは音声認識だ。画面をタッチして話すだけで検査結果を入力できる。建設/不動産用語に特化した専用の音声認識エンジンを使用しており、95%近い高い認識率が特徴だ。デジタル化を一度は断念した現場で活用されているケースもある」(立松氏)。
検査結果を音声で入力することで、手書きの場合と比較して作業時間を約半減できる。ASWのクラウド上にストレージサービス(30Gまで)が用意されているので、カメラや図面などの携行品はiPhoneやiPadだけで済む。ストレージサービスには台数の制限がなく、アカウントがあれば何人でも共有が可能で、AWSによる高いセキュリティ環境も担保されている。また、現場でデジタルデータ化するため、仕分け作業や写真整理は自動で処理され、検査後の事務処理作業がほぼゼロになる。
現在は、マンションやホテルなどの建築現場で、仕上げ検査に使用されているケースが多いという。仕上げ検査では、検査員が図面上をタップして指摘事項を話すと、その内容からAIが工種を予測し、工種ごとに登録された協力会社を判定して自動で仕分けを行う。撮影した写真に自由に書き込み可能で、指摘事項を分かりやすく共有できる。
なお、今後はエンジンモードをオフィスビル、工場、病院、物流施設などの多様な物件まで対象を拡張させる予定だ。
AmiVoice SIPのライセンス数は、2016年のリリース初年度で800程度だったが、現在は1万を超え、ユーザー企業は延べ250社を超える。立松氏によると「他社の施工管理サービスと組み合わせて、仕上げ検査の工程だけは当社のサービスを使用している企業もあるようだ」。
価格は基本利用料2980円、また、1ライセンスあたりの価格は、仕上げ検査が9800円(指摘共有機能はオプションで1現場当たり1万円)、配筋検査は1980円、配筋写真管理は1万4800円(全て税別)。
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