据付位置調整装置開発の背景にあるのは、建設業や物流業が対応を迫られる「2024年問題」だ。新技術発表会に登壇した日立製作所のビルシステムビジネスユニットCOOで日立ビルシステムの常務取締役 日本事業統括本部長も兼任する山本武志氏は「日立グループは時間外労働の上限規制に2019年に対応済みだ。しかし2024年4月からは、建設業や物流業の協力会社にも適用が始まる。今後、建設現場の休日増加などによる工程遅延も予想される」と説明する。2024年問題の影響で、エレベーターの新設台数も緩やかに減少すると予測されており、日立でも新設施工能力で前年度比6%程度不足のインパクトを受けると想定している。
こうした背景を踏まえ、「施工能力と業務効率を向上させ、昇降機の市場への安定供給を図る対策を進めている」(山本氏)として、建設分野では、製品構造の見直しによる部品レス化や組立のプレハブ化を進めるとともに、据付作業の機械化/自動化やマニュアルのデジタル化を推進していると紹介。さらに、採用の促進や作業長の早期育成、多能工化、海外グループ会社からの技能者受け入れといった、施工技能者の強化にも取り組んでいると話した。
物流についてもグループ会社と効率化を進め、配送トラック運転台数の削減などを推進している。日立グローバルライフソリューションズと昇降機と家電の共同輸送を実施する他、日立ジョンソンコントロールズ空調とは昇降機と空調機のラウンド輸送(トラックの融通)に取り組む。
山本氏は「日立は建設業、物流業の2024年問題に対し、日立が得意とするデジタルの力とグループシナジーを駆使して昇降機を安定供給していく」と強調した。
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