日立製作所と日立ビルシステムは、業務用空調機器の保全サービス事業を強化する目的で、新たにパッケージエアコンとチラーユニットを対象に加えた。
日立製作所と日立ビルシステムは2022年9月15日、「exiida(エクシーダ)保全サービス」の名称で、パッケージエアコンとチラーユニットを対象にした遠隔監視/保全サービスの提供を日本国内で開始した。
従来、日立ビルシステムは、ターボ冷凍機や吸収式冷凍機などの大型冷凍機を中心とした業務用空調機器の保全サービスを提供してきたが、新たにパッケージエアコン、チラーユニットをサービス対象に加えることで、ビル空調システムの新設や保全、リニューアルに関するニーズへの対応力を全面的に強化する。
exiida保全サービスは、日立ビルシステムが、日立グローバルライフソリューションズ(日立GLS)の空調IoTソリューション「exiida遠隔監視・予兆診断」を活用して提供する業務用空調機器向け月額定額制の予防保全サービス。通常は1年間となっている製品保証期間を10年間にまで延長し、万一の故障時の修理、空調機器の冷媒として使用されているフロンガスの漏えいを防ぐために義務付けられているフロン排出抑制法での定期点検、簡易点検なども全て月額の契約料金で対応する。
具体的には、空調機器を新設またはリニューアルする際、日立GLSの遠隔監視センターと空調機器を接続し、稼働状況を監視。故障につながる変化(予兆)を検出したときは、日立ビルシステムの技術者が点検を行い、適切な予防保全を実施する。
簡易点検については、3カ月に1回以上の実施が必須とされており、ビルオーナーや管理者が対応する場合は作業負担が発生していたが、2022年8月22日にフロン排出抑制法が改正されたことで、一定の基準を満たした常時監視システムで代替できるようになった。法改正に伴い、exiida保全サービスでの遠隔監視や予兆診断で簡易点検を代替し、ビルオーナーや管理者の負担軽減がもたらされる。また、3年に1回実施する定期点検は、日立GLSの技術者が現地対応する。
新たなサービス開発の理由として日立ビルシステムは、新型コロナウイルスの感染拡大を契機として、働き方改革が進み、都心部では、大規模なオフィスビルの供給が継続し、テナント企業の獲得競争が激化していることを挙げる。さらに、こうしたビルを取り巻く環境変化を受け、ビル内業務の効率化や高度化、ビルの高付加価値化、スマートビルの実現に向けた動きが加速していることも背景にあるとする。
特にビルの空調システムでは、故障などによる突発的な稼働停止を抑止する予防保全サービスへ関心が全般的に高まっている。また、大型冷凍機やチラーユニットなどの機器(熱源機)をビルの機械室にまとめて設置し、ビル全体の空調を一元的に制御するセントラル空調方式の需要は減少している一方で、部屋ごとに温度調整などが行える個別空調方式のニーズが拡大している。
個別空調方式で用いられるパッケージエアコンは、セントラル空調方式の大型冷凍機などと比較して、小規模な空調面積を対象としているため、保全サービスに対する顧客の関心度は低かったが、2015年4月のフロン排出抑制法施行で、ビルオーナーや管理者が継続的に点検などの履歴保存など適切な保全を行うことが求められるようになったことで、注目されてきている。
そこで、日立ビルシステムは、これまでターボ冷凍機や吸収冷温水機など大型冷凍機だけでなく、日立GLSのexiida遠隔監視/予兆診断を活用して、新たにパッケージエアコンやチラーユニットの遠隔監視/保全サービスを提供するに至った。
今回、提供を開始したexiida保全サービスは、exiida遠隔監視/予兆診断で得られる各種稼働データと予兆診断データに加え、日立ビルシステムが長年の大型冷凍機の保全サービスで培った技術やノウハウ、日本全国に展開するサービスネットワークを組み合わせることで、10年間の製品保証付きの高度な予防保全サービスを実現した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.